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作太の顔を見て少し緊張が解れた。
「……父親に会った」
人の財布を茶化しながらカードを並べていた亘君が石の様に固まったのがわかった。
作太はまだあの出来事を知らない。
「成真君のお父さんに?それがどうかしたの?」
「お母さんが、居なくなったって……」
「えー?家出?」
カードを置いた亘君がゆっくりとこちらへ顔を向ける。
「どういう事だよ……」
「……今日は、帰るわ」
俺はまた店のドアへと向かった。
「おいどこ行くんだよ!」
「成真君今日シフト入ってないのー?」
そんな二人の声にも反応する事無なく下へ降りていく。
少し落ち着き、何かを考えられるようになった頃にはもう自分のアパートへ辿り着いていた。
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