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あの二人に変な態度をとっちゃったな…。
コップ一杯の水を一気に飲み干し、ベッドの上に座った時だった。
“あはははっ。なんでぇ~?ははは”
なぜか今はー
“あはははは”
いつも聞こえる隣の声が耐えられない。
ドンッ!
と寄りかかっている壁を力強く叩いた。
「……」
(4年前)
「おい、交代だ」
息を切らした父親がスコップを差し出して来る。縁側で立っていた俺は黙ってそのスコップを受け取り、また静かに穴を掘り始めた。
小雨が降り、月明りのみで辺りは真っ暗。
だが縁側で腰を掛けた父親の泣いている顔は何故かとても鮮明に見える。
「……」
俺は無言で穴を掘り続けた。
そして事が終わった頃には空は濃い青色になっていた。例え自分の世界が苦しみに満ちようがどうなろうが朝は容赦なくやってくる……いつもと同じように。
鳥や人が目覚め、活動し始める。
そのありさまが残酷に感じた。
家の中へ戻ったが寝る気にはなれず、ただただ埋め直した穴を見ていた。少し離れた所に座っている父親も庭を見つめていたが茫然としたその顔は何だか別人の様に感じた。そもそもこんなに顔を眺めた事なんてなかったからそう感じるのかもしれない。
うちは“普通の家族”じゃないんだから。
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