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「ヤバイ、時間がないな」
アスファルトの割れ目から茎がニョッキと生え、たんぽぽが元気な顔を覗かせていた。
吉田は大学3年生。高校卒業時に東北地方の田舎町から都会に上京。そのまま3年弱の月日が経ち、周りの学生と同じように就職活動に励んでいた。
その日、吉田が受ける会社は3社あり、3社とも異なる業界だった。1社目はゼネコン。2社目はアパレルメーカー。3社目は酒造メーカーだった。就職氷河期が叫ばれる中、吉田は多種多用な業界、業種の会社を受けていた。
吉田は腕時計を見た後、時間が迫っていることに狼狽した。理由は1社目のグループワークが思いのほか長引いたせいであった。吉田はビジネスバッグに入ったペットボトルを一口飲むと、2社目に向かうべく小走りで駅に向かった。
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