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自己紹介が終わると、大学で学習したこと、アルバイト経験の有無、趣味などの基本的な内容を面接官は訊いてきた。
「ありがとうございます。それでは、志望動機についてです。なぜ、当社を志望するんですか?」
「御社が創業から守り抜いてきたモノづくりへのこだわりに惹かれたからです。企業理念は創業から一貫してお客様に満足してもらうこと、とホームページの掲載文を拝見しました。失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、頑固なまでに品質にこだわる姿勢が自分と重なる部分が多く、魅力を感じました」
(うちのホームページで企業理念はチェックしているのね。準備はバッチリっと)
面接官は首を縦に振りながら返事をした後、自己アピールを学生に促した。吉田がハキハキと答えると面接は終了した。
「本日は貴重なお時間をありがとうございました」
「いえいえ。結果は1週間後に連絡します。この面接を突破すると、次は最終なので役員面接となります」
「承知しました。それでは、失礼いたします」
吉田はイスから立ち上がると、部屋を出て行った。
「いやぁ、緊張したな。それにしても、アパレルメーカーの面接官にしては、服装が黒のスーツで地味だったな。まあ、でも、募集要項に面接時はスーツで来てください、と書いてあったし、お互い様か」
吉田はエスカレーターの中で小さな声でつぶやくとビルを出た。
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