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「オメー達か、オラのエエ夢を覚ましたんは。んあぁ?」
テントから姿を現したそれは、ゴブリンというには余りに大きく、オーガではないのかと疑う程の貫禄を備えている。
「申し訳ありません長、オイラ人間を捕まえたので今から情報を聞き出そうかと思いまして」
必死に取り繕うテルに、長は耳を傾けるどころかその大きな握り拳で殴りつけた。
殴られた衝撃で弾き飛ばされたテルは、丸太の塀に背中を勢い良く打ち付け、駆け寄った時には瀕死状態で、まるで女神の魔法が解け最初に戻ってしまったようだった。
いや、1つだけ違っていた。
そんな状態の中、彼は俺の影を感じ取ると手を差し出したのだ。
「い・・・、はや・・・に、け・・・」
「ゲヒャッゲヒャハ!!オラまちげぇちまったけぇな?んぉ?オメー人間か?オラ人間は好物だ!!腹減ったし、食っちまお!」
ボロボロで、もう意識すら保つ事も困難であろうに彼は『助けて』ではなく『逃げて』と言った。
「・・・今すぐ兵を引け」
「んあぁ?」
「聞こえなかったのか?今すぐ兵を引けと言ったんだ愚か者!!」
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