エリートは迷わず勇者で無く魔王を選んだようです。

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「ゆ、勇者様今何と!?」 「いぃぃぃぃーーー」 「姫様は黙っていてください!!」 あー、またか。 もういい、そろそろ皆様飽き飽きだろうよ。 「君らは死ぬ前に『デジャブ』という言葉を辞書で引きたまえ。では失礼致します」 無駄な時間を浪費した。 ここからは巻で行く。 「お、お待ちください!!!!」 「何だパルム騎士長、そこに立たれてはドアが開けませんが?」 いい歳したオッサンに通せんぼされても怒りしか湧いてこないのだが・・・ 「どうか訳を!我々ではなく、奴等に手をかされるその訳だけでもお話下さい!! お答えようによってはこのバルド、勇者様であろうと容赦はしない所存です」 国と誇りの為に剣を抜くか。 確かに、剣先を向けられると武道には素人の俺でも凄みを感じる。 騎士長の名は易くはないのだな―― 「いいでしょう。バルド騎士長殿の名に免じてこの俺の時間(・・・・・・)を割いて差し上げます」 俺がこの世界に来てから5分23秒経った。 「寛大な御心、感謝致します」 やはり、腕時計との差分は無い。 「はぁ〜、どうやら最悪の事態らしい・・・ 剣は下げるな!それでいい。 では説明しよう。 この世界と俺のいた世界は時間の進みが同じようだ。つまり、この世界で時間を無駄に浪費すると、俺の世界の時間も無駄に浪費する可能性(・・・)があるという事だ。 よってこの国には滅亡してもらう。」 「なっ!?」 異世界召喚?そんなたわげた事に俺の貴重な時間を浪費されてたまるか! こっちとら大事な顔合わせで急いでんだよ! 一国の滅亡よりも、この俺の貴重な時間が浪費されるほうが何万倍も宇宙の損失だわ!! 「俺がこの世界に強制誘拐された理由は、この国が滅びそうで、それを救う為だ。 すなわち、この国が滅べば俺のいる理由は消えパラドックスが起き、女神なんぞの力を借りんでも世界が自己修復するさ」 「そ、そんな理由でこの国が、世界が滅んでもいいと本気で言っているんですか!?貴方の理論なら、この世界を救う事が貴方の成すべき使命ではありませんか!救う力があるのに見捨るだなんて、それが勇者のする事ですか!!?」 世界を救う?そんな事する奴がいるのか?もし居たならそいつは救いようの無い馬鹿だ。
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