ビール

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ビール

狂が、また哲をトイレの便器に投げ込んでくれたおかげで雫はまた自宅謹慎処分を学校から受けた。雫はメール交換していたOLと飲みに行く事にして最寄り駅で待ち合わせした。 待ち合わせに現れたOLの美沙子は全体的に肉弾的で背が高かった。メチャ胸デカ!と狂は言って美沙子の胸の谷間ばかり見ている。 「アルコールって良いよね。何か飲んで酔うと自分ていう殻を脱ぎ捨てられる感じがして。」 と美沙子はビールを飲みながら静かに言った。 「確かにね。自分自身を装う事で生きられる世の中だからね。」雫は会って直ぐに自分は高校生だと告白した。180cm近くある背のある雫は黙っていればバレなかったと思うが何故か美沙子の優しい雰囲気に解されて正直に言った。 美沙子は、笑って「だと思った。」と言った。その表情が少し寂しそうで何かを訴えていると感じた。 社会という足かせをつけられて歯車になっている自分自身に失望していても毎朝起きて出社して笑顔を振り撒き、事務、雑用をこなして控室で無表情でテレビを観ながら母親の作ってくれた弁当を食べて一息ついてまた午後の仕事。その歯車が彼女を輝かせている半面でカチコチに固まったコンクリート人間にしていると雫は思った。
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