本当の育児日記(妊婦編)

小さな悪魔

これがつわり(悪阻)というやつか。
吐き気が止まらない。

テレビでは、悪阻のシーンはワンカットで、すぐお腹が大きな幸せそうなシーンに変わる。そうしてすぐに出産だ。

現実はどうか、１ヶ月、２ヶ月、それ以上、寝ても覚めても吐き気が止まらない。
いつかは終わるとわかっていても、いつ終わるのかはわからない。先が見えない。

朝起きたときのご飯の炊ける臭い
味噌汁の臭い、麦茶の臭い
大好きなはずの臭いがダメになる。

キッチン、夕食の臭いが残るリビング
トイレの芳香剤、シャンプー、柔軟剤、町行く人の香水
吐き気の原因は食べ物だけとは限らない。

自炊を諦め、スーパーへ行く。
食べたいのに、何が食べられるかわからない。冷麺なら食べられそうだが、冬のスーパーには並んでいない。惣菜コーナーの臭い。
急いで、唯一あった「ぶっかけ素麺」をかごに入れる。帰って開けると、添えられたきゅうりの臭いがだめだった。
確実に食べられる梅干しを冷たいご飯に乗せて、恐る恐る食べる。
夫の食べる弁当の臭い。
自炊をやめても、悪阻からは逃げられない。

それでも負けられない。
だって、あなたに会いたいから。