姉が出ていった

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 私には年の離れた姉がいる。  頭の良く、美人な姉だった。その姉が彼氏を親に紹介する為に家に連れてきた。  親に紹介する前から姉から私は紹介されており、優しい好青年でこんな人が私の義兄になるなら喜ばしいことだった。  親もきっと納得してくれる………そう思っていたのだが、紹介のあった日は私は学校があり、夕方に家へと帰ると玄関先で姉が荷物を持って出ていくところだった。 「お姉ちゃん?」  そう呼んで振り向いた姉の顔は悲しみに染まっていた。どうしたのかと聞く前にそそくさとキャリーバッグを引きずって出ていった。  不思議に思いながら家の中にはいると、父が興奮した様子で玄関に立っていた。私が「ただいま」と言うと、ハッとしたのか居間へと行ってしまう。  入れ違いで母が台所から出てきて「おかえりなさい」と言ったのを聞いてから姉に何があったのか母に尋ねる。  母は言いづらそうに父と姉が喧嘩をし、姉が荷物をまとめて出ていったと伝えられる。突然紹介された男に娘を取られるのを嫌がった父が悪いのだが、私はそれどころではなく、慌てて荷物を投げ出すと再び外へと向かう。出ていって姉の走っていった方目を向けるもどこにも姉の姿はなかった。  それからの日々。姉のいない家の中はぎくしゃくしてしまい、私も大学進学とともに家を出た。父の後悔している顔をこれ以上見たくなかったからだ。
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