おじいちゃんコンピューター その1

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おじいちゃんコンピューター その1

寂しさが鳴る。 どうこうしたいわけでもないけど、今の私にはやりたいことがない。いや、でも夢や野望はあるわけであってなにもないっていうのは違うっていうか。 友達のカズマにそう滑舌悪く喋る喋る私は、なんか違うな~と思いながらまくし立てた。 カズマは呆れるように「お前、一体自分がどれだけ恵まれてるんだと分かってないの? それはね、人には今は見えなくてもいずれ生きていれば見えてくるものはある。夢や野望なんて二の次。今は考える必要ナシなんだよ」 カズマのその攻めの口調がとても好きでもっと言ってほしくて黙ってたけど、カズマはそれを察知したみたいで言った。 「まあ、お前は疲れてるんだよ。一度この忙しい受験戦争から少し抜けてみたら? 人が死にものぐるいで頑張ってる時に休むとこの上ない幸せだと思うよ」 結局、カズマも一人でもライバルを蹴落としたくて私に戦線離脱を提案した。まあ、そのつもりだったから良いのだけれども。 こうして私は急遽、受験戦争から戦線離脱と言うか戦略的撤退をして、この学問の世界からドロップ・アウトした。 そう、今の私には考える時間が必要だと自分で判断した。 感覚的衝動ってやつだ。
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