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昭和荘は、小高い丘の上にある。
爺ちゃんが残した畑の周りは、ギリギリまでぐるりと新興住宅地で囲まれている。
「良い?このことは絶対に人に言っては駄目」
どうやらそれが、俺ら家族が、正しくは爺ちゃんが狭山君と交わした”契約“ならしい。
つまり狭山君が仕事へ行く時は、災害の前触れなんだ。
引き篭もりのドラゴンにまで招集が掛かるなんて、他にドラゴンが何体だか何柱だか現存してるのかは判らない。
狭山君の言葉を借りれば、“寿命の尽きた”人々が、今回も多く亡くなる事が予測できた。
神様だか何だか知らないけれど、彼らに勝手に決められた都合で死んでいくなんて、不条理過ぎる。
「ヒロシ…お前だって、石に躓いて打ち所が悪くてぽっくり死んじまう事だってあるんだぜ?」
狭山君が、さらっと怖いことを言って退けたことをふと思い出した。
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