寛解

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なぜ?今日はまだ覚めない。 いつもなら次の瞬間に目を覚ますのに。 娘が亡くなったそれからの日々は、時間が止まったようである。一日一日が、とても長い。ぼんやりと考え事をする時間が増えていた。 ここ十数年間で目を覚ますのは必ず真夜中で、普通の人と同じように朝日に起こされることはない。夢を見たあとは、ただこの世から見捨てられたような失望感と後味の悪い吐き気だけが残る。そして一人老眼鏡をかけ、顔を洗いにはい起きる。部屋にぼんやり灯る温かい電気と冷たい廊下だけが真夜中のいつもの私の顔を知っている。 でも、今日の夢には続きがあるらしかった。 なんとなく感じる。私が望んでいるのではなく、神が操るのでもなく、ただ千枝ちゃんの匂いがする。
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