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次の瞬間で、目が覚めた。またいつもの気味の悪い真夜中が始まる、そう思ったけれど千枝ちゃんは私のすぐ近くに立っていた。なぜだか少し怒っているように見える。
「ママ、起きて!寝坊だよ。今日お弁当いる日だって昨日言ったじゃない。」
制服を着た娘は私の顔をじっと覗き込んでいる。
あ、そうか。これが私の現実だったのだ。今までのはなんて不吉な夢だったのだろうか、娘が亡くなるなどという、なんて不吉な夢を。
「千枝ちゃん、おはよう。ママ今、すごく嫌な夢を見ていて…」
「何言ってるの?ママ。そんなこと、いいから!とにかくお弁当がいるんだってば!」
「ごめんごめん。」
謝りながら私はパジャマのままキッチンに立たされる。
小窓から見えるいつもより綺麗な快晴を見つめて、私は娘にふと呟いた。
「千枝ちゃん、今日ママが特別にお弁当を学校まで届けてあげる。ね、いいでしょう?」
私の隣でせかせかと昨晩の夕食をレンジで温める娘は嬉しそうに頷いた。
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