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死んだ娘がいた。
いつも通りの場所から始まる。
スクランブル交差点を歩く私とすれ違う。
まだ高校生の千枝ちゃん。
死んだんじゃなかったの?
私は咄嗟に振り返る。
人ごみに隠れてもういない。
「千枝ちゃん、千枝ちゃん!」
私は叫びながら人をかき分け、また探している。
突然、不吉なクラクションが鳴り響く。
千枝ちゃん?
嫌な直感が全身の血を騒がす。
「千枝ちゃん、千枝ちゃん!」
走った先には大型トラックと、
血だらけでぐちゃぐちゃの千枝ちゃん。
私は叫ぶ。
運命という呪いに殺された千枝ちゃんを嘆いて。
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