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脳内映像スケッチ(タイトルはラスト)
銀色の薄い格子。その向こうに煌々と燃え盛る炎。
手を翳して、熱を確かめる。
ひとつ頷き、並んだ皿に手を伸ばす。
どの皿にも、赤く、綺麗な薄切りの身が並んでいる。
形と色が微妙に違うそれらを見比べ、一枚の皿を選ぶ。トングでそっと一枚ずつ摘み上げ、格子の上に折れないように並べる。
途端に音を立てて燃え盛る火。
じゅわっと音を立て、煙が上る。
視界も聴覚も感情も、まるでお祭り気分。
小さな空の小皿に、テーブル脇の液体を流し入れ、トングを構えて待つ。
そっと一枚、トングを差し込み捲り上げて見る。
――いい色だ。
茶色、とも灰色とも言えないそんな色で表すには無粋な言わば"焼き色"。
じわりと浮かぶ赤い汁さえ、身を輝かせる。
店員の声と共に運ばれてくる、白い山を持った茶碗。
トングを箸に持ち替えて、いざ。
「いただきます!!」
タイトル「焼肉」
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