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*** 王はワインを揺らしながら、優雅にグラスに口をつける。 「お前は国を亡ぼす一番の原因を知っているか?」 「戦争、ですかね」 側近は首をかしげながらそう答える。 王は首を振る。 「反乱さ」 強国として知られた隣国も、 過去大国として知られた数多なる国も、 その多くが自国の民による反乱によって滅びた。 「だから民衆には怒りと憎しみの矛先が必要なのだ」 一つの敵を前に民衆は団結する。 その団結力や否や、一国を落とすことなどたやすい。 「本当に恐ろしいのは民衆の力だよ」 しかしその矛先が「他」に向いている間、 この国は安泰だ。 この国の「魔王」は死なない、 この先も、永遠に。 【そして俺は魔王となる 《終》】
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