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王はワインを揺らしながら、優雅にグラスに口をつける。
「お前は国を亡ぼす一番の原因を知っているか?」
「戦争、ですかね」
側近は首をかしげながらそう答える。
王は首を振る。
「反乱さ」
強国として知られた隣国も、
過去大国として知られた数多なる国も、
その多くが自国の民による反乱によって滅びた。
「だから民衆には怒りと憎しみの矛先が必要なのだ」
一つの敵を前に民衆は団結する。
その団結力や否や、一国を落とすことなどたやすい。
「本当に恐ろしいのは民衆の力だよ」
しかしその矛先が「他」に向いている間、
この国は安泰だ。
この国の「魔王」は死なない、
この先も、永遠に。
【そして俺は魔王となる 《終》】
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