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魔王討伐を果たし王の前に膝をつく。
魔王討伐の暁に得られるもの、
富、財宝、土地、名誉、様々な噂があった。
そしてそのどれもが決して過信ではないと思っていた。
自分は国を救った英雄として末代まで語り継がれていくのだろう。
王は静かに口を開く。
「勇者よ、お前は罪人だ」
勇者は王の言葉に思わず顔をあげる。
耳を疑うとはまさにこのことだ。
「お前は人を殺した」
「私が殺したのは魔王であり、人ではありません」
「いいや、あれは人だ。それはお前が一番よくわかっているだろう」
その言葉に思わず自分の掌を見る。
王の言葉を肯定するように自身の掌は震えていた。
「しかし私は寛大だ、
お前の勇気と強さを称え、
チャンスをやろう」
王はにこやかに笑った。
「次の魔王になれ、勇者よ。
それがお前の罪を許す唯一の条件だ」
そして俺は魔王となった。
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