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「あっ、くぅ……」
男が一人、情けなく呻く。程なくしてざらめの唇の端から、ぽたぽたと白濁液が垂れた。
「やべぇな、もたねえ」
「そんなにか? こっちも口でしてくれよ」
袷から懐紙を取り出すと、その上に男の子種を吐き出す。それでも少しは飲んでしまったようで、喉奥から青臭さがせり上がった。
もう一人の茎根もくわえて、射精を促す。そうしているうちに、先に達した男が屈んで腰に触れた。
「っん……」
「なあおい、尻は寂しくねえか?」
「……はぁ、ん、疼きます」
糸を引きながら陽物から唇を離す。本心ではない。けれど否定したところで、なにもよいことはない。淫乱を演じるのが、この仕事ではなによりも得なのだ。
「こちらもいただけたら、んぐっ……」
返答の途中に、男のものが口へ詰め込まれ、苦悶の声を漏らす。
「おいおい勝手に離すなよ」
「んん……ん、ふっ……」
鼻から息が抜ける。きっと男たちにはこれが、甘い吐息のように聞こえていることだろう。
「どんな風によがるのか見てみてぇな」
男はそう言いながら臀部を撫でまわす。
空は一層、乳白色の絵具を垂らしたように白み始めた。
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