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ひろみとスケジュール表
土曜日の夜、いつものように家事をすませ、三姉妹を寝かしつけてから、コーヒーを入れる。明日はいよいよ実家に出発だ。たけしは本当に大丈夫だろうか。
たけしは一人暮らしの経験があるから、一通り家事はできるはずだ。
でも、子どもができて私が仕事をやめてからは、ゴミ出しと風呂掃除くらいしかしていない。
「大丈夫だって、僕も父親なんだから」
簡単そうに言うけれど、そんなもんじゃない。
いっそのこと丸投げして出てやろうかと考えたが、そうなると困るのは子ども達だった。
ダイニングの机でコーヒーを飲みながら、紙と鉛筆を手に取る。
いつもしていることを書き出したが、心配事を書き足しているうちに、すぐ一枚目が真っ黒になってしまった。朝から夜までのスケジュールで良いと思っていたが、曜日ごとにまるで内容が違うのだ。
だめだ、これじゃたけしには伝わらない。
一枚目をぐちゃぐちゃに丸めて、作戦を練り直す。
結局、洗濯や食事、お風呂のことなど、毎日のことと、後は「月~金」の曜日ごとに分けてまとめることにする。
書いてみると、びっしり、計6枚ものスケジュール表ができあがった。
改めて見るとすごいもんだな、と思う。主婦のスケジュール表、見てみろ、世の中の夫よ。
おっと、ゴミ出しを書き忘れた。仕方がない。枠外に、忘れないよう赤く印をつける。
気付きだすとあれもこれも、心配が止まらなくなる。
ふと、時計をみると、明日は今日になっていた。眠いはずだ。とりあえず寝ておかないと。荷造りは午前中にしよう。
たけしは優しい方だと思う。言うと何でもしてくれる。言わないとしてくれないけれど。
たぶん、知らないのだな。
大丈夫、桜と桃は自分のことができるし、花の面倒だってみてくれるだろう。
たけしはきっと投げ出したりしない。一週間、頑張ってくれるはずだ。
たけしを信じてみることにした。
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