花という名前

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花という名前

「桜」の名前はすぐに決まった。初孫ということもあり、お互いの両親にも相談したが、初めての花見デートや産まれる季節から、 「桜がいいね」 と、満場一致だった。 「桃」の名前は、産まれてから決めた。最終候補まで残っていたのは「楓」と「桃」で、顔を見てから決めようということになった。二人目だからすぐに産まれるだろうと思っていたが、お腹の中で大きく育っていたこともあり、なかなか出てこなかった。やっと出てきたその顔は真ん丸で、頬っぺたはピンクだった。小さな桜は、「ももちゃん、ももちゃん」と喜んだ。 「花」の名前は、なかなか決まらなかった。「桜」「桃」ときたので、木や花の名前がいいと思ったが、どれもピンとこなかった。「梅」も頭をよぎったが、何となくおばあちゃんが連想されてやめにした。 「花の名前、花の名前」と言っているうちに、桜と桃がママのお腹を撫でながら「はなちゃん」と呼び始めた。 「はなちゃーん、早く出てきてねー」 「ママ、はなちゃん動いたよ!」 それがすっかり定着し、「花」になった。
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