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「も、ッもうむッ…ンあだって…」
レポートが終わらないから集中したいと言った槙野を床に押し倒して、そのまま犯している。側にある机が揺れているが気にならない。
今日もダメだった。女をホテルに連れ込んだはいいものの、やはり勃起せず女を置いて帰ってきたのだ。
卒業式に、槙野を抱いてから、俺は女では勃たない身体になっていた。
試したことはないが、男もダメだ。多分、槙野じゃないと。
ぶかぶかのトレーナーから覗く細い腹が余計に情欲を掻き立てられる。無理だと言って、逃げようとする槙野の腰を捕まえて、さらに腰を打ち付けた。閉じた肉襞をこじ開けるようにして、鋭い突きをするたびに槙野は絶頂を迎えているようだ。
薄く割れた腹筋が、ヒクヒクと動いている。この薄い腹の中に全て自分のモノが挿入っているのだと思うと興奮する。
正常位はやはり良い。全てを見下ろすことができる。
槙野の絶頂しっぱなしのペニスは、勢いなく射精をしつづけ痙攣している。
俺はやはり、槙野から離れることはできなさそうだ。
槙野への気持ちを自覚したのは、ルームシェアを初めてしばらく経ったころ。我ながらクズだとは思うが、初めてセックスした卒業式の日はまだ自覚していなかったのだ。
閉じ込めてしまいたい、そんな欲求と自覚してからの実際の己の行動のギャップに俺の精神はやられそうになった。
槙野が好きーー、そう自覚した瞬間、槙野に優しく接することができなくなった。
靴を揃えろ、ちょっとくらい手伝え、そう言う槙野に俺は、「わかった、手伝うよ。ごめん」ではなく、「うるせえ、お前は俺の母ちゃんかよ」と返すのだ。
アイツが楽しみにしていたプリンも、わかっているのに困らせたくて食べてしまう。
こんな自分では、槙野を幸せにできない。
俺は、彼女でも作れば少しはマシになるのではと考え、遊び回った。
しかし、どんなに可愛い子でも俺の息子はうんともすんとも言わない。
この目の前で乱れる男の槙野には、馬鹿みたいに勃起するというのに。
今日もダメだ、諦められなかった。
諦める気なんて更々ないのだから、こうして槙野を犯しているということに馬鹿な俺は気付くことができなかった。槙野が傷ついている、ということも。
俺は、大馬鹿野郎だ。
これから俺に天罰が下るということも知らずに俺は、あの日、あの夜。
「実家に帰らせていただきます!」
と、どっかで聞き覚えのある台詞を吐いて出ていった槙野を追いかけることすらしなかった。
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