440. 白石の病気は?

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440. 白石の病気は?

30分後、白石はMRI室から出てきた。 診察室に再度呼ばれると 「静香?一緒に先生の話を聞いてくれるか?」 結果が恐ろしかった白石は、静香にすがったような顔をしていた。 「わかったわ。ついていってあげるね♪」 そう言って、2人で診察室に入っていった。 先生はMRIの写真を見ながら 「脳内、眼球の周りには腫瘍が出来ていたり、取り除けなかったガラスの破片の一部が入っていたりしてはいませんから、安心してください。 結果から、申しますが… 白石さんの病気は自律神経失調症です。」 「え?自律神経失調症?」 「はい。目のピントには自律神経が関係しているのです。 交感神経は、活動しているときに優位になり、目や身体を緊張させるように働きます。 逆に近くを見るときには目や身体をリラックスさせる副交感神経が優位になります。 交感神経と副交感神経がうまく切り替わることで、目のピントを正しく調節できるのです。 それが、白石さんの場合は左目の失明によって右側しか見ることが出来ないために、自律神経がうまく働いてくれません。 カップヌードルやお酒ばかり飲んでいると、目に栄養なんて回らないから自律神経失調症になってしまうんですよ! 加えて、栄養失調にもなってしまってます! 目にも身体にも栄養をつけないと角膜がせっかく手に入っても、また失明してしまいますよ! ブルーベリーとか、ブロッコリーとかほうれん草などの目にいい食べ物を沢山摂取して下さいますか?」 「目にいい食べ物?」 「はい。最近特に注目されている成分はアントシアニンです。 また、アントシアニンだけでなくルテイン、ビタミンAという 目の働きを改善する成分もバランス良く摂るといいでしょう。 白石さんは極度の眼精疲労で、偏頭痛にもなっています。 目の奥の自律神経がやられてしまって炎症が起きたのです。 お酒は控えめに! 目には良くありません。 野菜を中心にして、食生活を見直してくださいますか?」 今も水商売の仕事をしていることを知っている先生は、白石に辛口で話したのでした。 お酒は目に毒と知っていたから、出来れば禁酒してほしかったのでした。 白石は 「食生活か…確かにお店で食べさせてもらっている賄い飯以外は、全てカップヌードルだ。 わかりました!今日から野菜を食べます!」 白石は先生に目にいい食べ物の冊子をもらって帰りました。 静香達は帰りにスーパーに寄って、今夜の夕食の温野菜の惣菜を選び、サラダ巻き寿司も買って、明日の分の野菜や肉も買って帰っていきました。 「加奈さん。明日はゆっくり休んでくださいって、チーフが言ってたわ。」 「え?いいのか?」 「加奈さんの事だから、ラウンジは出るんでしょ? 昼間だけだものんびりしていたら? 明日は高校生のバイトが学校の創立記念日で来てくれるのよ。 また、明日の帰りにここに来るね♪ とにかく、入院しなくて良かったわね♪」 「ああ。本当に良かった… 自分で自分の首を締める生活をしていたんだな… 静香には恩をきるよ♪ 料理、師匠に教えてもらわないとな。 明日は復習のハンバーグ作るよ♪ 忙しくて…料理作るって約束したのにな。 憲一師匠に怒られるな(笑)」 2人は笑って、明日の約束をして静香は帰っていった。 静香は自宅に戻って、憲一に白石の病気の話をした。 「自律神経失調症? カップヌードルしか食べてなかったの? 目にいい食べ物か~? 明日、図書室に行って、食べ物の本を借りてくるね♪」 憲一はなにやら、本を借りてきて白石の病気にいいおかずを考えるようだ。 「憲一のその食事に対する熱意はどこから来るの? それを勉強に当てたら博士になれるかもよ♪」 「お母さん?博士になったらレストランが出来ないよ? 僕は食材に対して勉強したいだけなの! だいたい僕はお父さんとお母さんの子供だからね! どっちを向いても博士になんてなれないよ?」 うわ~。可愛くない~! 「あ。それからね。 明日は尚ちゃんのお店に仕込みから手伝うのよ。 1ヶ月に一度だけ、朝から来るバイトと直美ちゃんが通信教育の講義を受ける日なのよ。 だから、お母さんは朝7時過ぎに出るから、憲一は鍵をちゃんと閉めて学校に行くのよ!」 「え?そうなんだ。わかったよ。 それじゃ、寝坊助母さんにならないように、早く寝ないとね!」 本当に可愛くないよな~! でも、母親らしい態度で!ってみよばあに言われてるし… 「そうね。明日の準備しちゃいましょう♪」 そう言って、静香は憲一とお風呂に入ると、洗濯機を回して、台所で明日、白石に食べてもらおうと ロールキャベツを作り出した。
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