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443. 今度の釣りはイカ釣り大会
次の日、白石がいつもの時間に飯田の店に顔を出した。
「2日間お休みしてすみません。」
「白石さん?もう大丈夫なのか?」
「はい!静香が病院連れて行ってくれたり、夕飯のおかずを持ってきてくれたりして助かりました!
静香。恩にきるね♪ありがとう。」
「ううん。持ちつ持たれつよ♪
そうそう。憲一から自律神経失調症に効くレシピを書いたのを預かって来たわ♪
加奈お姉ちゃんが簡単に作れる栄養満点のおかずを考えたって、言ってたわ♪
図書室の本を借りてきて、憲一なりに考えたみたい♪」
「へぇ。憲一が?」
飯田も興味があり、白石に渡したメモを横目で見ていた。
①『温野菜とマグロの水煮(缶詰)のマヨネーズあえサラダ』
②『奴豆腐のしらすかけ』
③『バナナのヨーグルトあえ』
④『あら汁』
⑤『アボカド納豆』
1人前の数量も調味料も書いてあった。
「確かに!簡単だけどちゃんと数量も書いてあって、憲一もいっぱしの料理人だな!
お見それしたよ♪」
「ホントだ♪私にも作れるレシピだよ!
嬉しいな♪
さすが師匠だね♪
早速今夜作ってみるよ!
ありがとうって師匠に言ってくれよな♪」
笑顔で静香はうなずいた。
3時になるとお客は引けた。
やっとお昼にありつけた。
「白石さん。俺からも、ちょっと自律神経失調症にいい食事を調べてみたんだ。
今日はマグロの煮付けとほうれん草のお浸しだ。
それと、デザートにレアチーズケーキだよ。
今日は特別な。」
飯田は皿に盛ると、テーブルに置いた。
「うわ〰️。ありがとうございます。
やっぱ、師匠の師匠だけあるよなあ♪
旨そうな煮魚だ。
私には作れそうもないな。(笑)」
「いや。白石さんは憲一に教えてもらって出汁が出来るんだよね?」
「うん。鰹節と昆布を入れて作った出汁をビンに入れて冷蔵庫に入ってるよ。
毎回作るのも大変だしさ。
昆布をビンに入れとくと味が濃くなって美味しいんだ。」
「それじゃ、煮魚は直ぐに出来るよ♪
鍋に出汁を入れて醤油とみりんを大さじ1:1を入れて、生姜を入れたらマグロの切り身を入れて落し蓋を、して煮ればいいんだよ♪」
「え?そうなのか?でも…一度見てみないと私には難しいんだ。
嘘だろ?って思うだろうけど…醤油とみりんを入れるタイミングや魚を煮る時間や落し蓋ってなんだか分からないんだよ。
憲一師匠のメモのレシピは簡単だけど…」
「そうね♪加奈さん?
今度、私の家で一緒に作りましょう♪」
「うん。ありがとな。」
白石は食べ終ると飯田にお礼を言って帰って行った。
静香は皿洗いを始めた。
「白石さんには、憲一が師匠でちょうどいいって…静香が言ってた意味がよく分かったよ。」
「そうでしょ?
でもね。昨日物々交換して、加奈さんのハンバーグを食べたけど、美味しかったわ♪
ちゃんと数量を計って、焼くときにはアルミキッチンシートを使うと焦がさないって、憲一が教えたお陰で、ふっくらして中がジューシーで…
加奈さんはやれば出来る人って再確認できたのよ♪」
「そっか。アルミキッチンシートかあ。
台所用品に買い物に、行くと便利グッズが揃っているからな♪
憲一の子供からの目線は新鮮かも知れないな♪
そのうち、俺が憲一を師匠って言う日が来るかも知れないな(笑)」
「あ。落し蓋の代わりにアルミキッチンシートで出来るわよね♪」
「ああ。そうだな。その方が洗い物少なくてすむかな。
キッチングッズを使って教えてあげるのも親切かもな♪」
「そうね。どんな形でも楽しく料理出来るのが1番よ♪
嫌いな人を楽しませて料理させるのが、師匠なのよね♪」
「ハハハ。ホント!憲一は一流の料理人になれるな♪
そうだ。静香。今度の釣りは
エギング釣果大会に出席するってマリオが言ってたよ♪」
「え?エギング釣果大会?」
「疑似餌の事さ。その疑似餌のエギングを使って、でっかいアオリイカを釣る大会の事だよ!
一番大きなイカを釣った者に賞金があるんだ!
子供も女性もエギング(疑似餌の事)で初心者向けなんだけど、静香は結構慣れてるから、デカイイカが釣れるかもな♪」
「え?賞金ってなあに?」
「うん。5万円と釣具一式のカタログだよ!
それがさ。男性部門、女性部門、小学、中学、高校部門もあるんだよ♪
学生達の優勝は金一封と釣具のカタログだけどな!
でも、大会だから、同じフェリーに乗るから夜中なんだよ。」
「え?何時?」
「集合は日曜日の零時だ!」
「ええ!!寝ないで釣るの?」
「ちょっと、いつもより沖に出るからだよ!
大会開始は朝の7時だ。
結構デカイフェリーだから、ごろ寝は出来るはずだよ。」
「尚ちゃんの店は夜8時までだよね?
大ちゃんと一緒に行くのよね?」
「いや。大ちゃんさ。ダットサンの中古買ってさ。
後ろ改造して、キャンピングカーもどきの改造車作ったんだよ!
寝床と釣具入れと、トイレ付きだよ。
守が運転で大ちゃんとマリオは寝る作戦な(笑)
だから、俺の車空いてるから、静香と憲一を乗せて行けるよ♪」
「そう?良かった!今回は甘えちゃおう♪
皆の分のお弁当作って待ってるね♪」
「うん!期待してる♪
それじゃ、二人っきりの時間は、その前の日の金曜日のワンコインな!
楽しみ盛り沢山で嬉しいなあ♪」
飯田はにやけて、静香と唇を重ねた。
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