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444. 女の勘
金曜日。
飯田は今日は静香とホテルと思うと、朝からルンルンしていた。
「チーフ?今日はご機嫌ですね♪」
バイトの直美が微笑んだ。
「え?そう?多分、俺の好きな釣りが明後日行けるからだよ♪
やっと1週間が終わる〰️!って思うと嬉しくてね♪」
まさか、静香とラブホだからなんて言えねえよ💦
気をつけて行動しないとな!
「おはようございます!」
「おはよう♪」
「おはようございます。」
静香が、後から勝手口から入ってきた。
もつ煮込みがいつもの倍を飯田が作っていた。
「あら?チーフ?もつ煮込みは今日は多いような気がするけど…」
静香は直ぐに気が付いた。
「金曜日はお客の入りは多いんだ。
10食限定!なんて詐欺だな(笑)
それに、今夜は親父達のカラオケの日だからさ。
親父が好きなもつ煮込みだしな♪
カラオケ仲間に食べてもらおうと思ってさ。」
「そうなんだ。」
静香はキャベツを洗って千切りを始めた。
「岡野さん。焼きそば用のキャベツもいつもの倍に切ってくれる?」
「はい!わかりました!」
直美はじゃが芋の皮むきをしながら、静香の耳元で
「チーフ。今日はご機嫌なんですよ。
釣りに行くからルンルンなんですって。
私は違う事でワクワクしてるのかなって睨んでます。」
と、言ったのだ。
「え?釣りじゃないの?」
静香はとぼけて答えた。
「だって、釣りなんて毎週の事じゃないですか?
陸釣りで釣れたんじゃないですかね?」
「え?おか釣り?」
「海から上がって陸で女性をゲットですよ!
知らないんですか?陸釣りの意味!」
そんな事は知っている。
もう、ここは知らないふりをしてスルーしたい静香だ。
「チーフにも春が来てもいいんじゃない?
彼女いないみたいだし…」
話題を替えたい静香だった。
『尚ちゃん〰️。女って鋭いから浮かれてちゃ駄目だよ〰️!
勘ずかれないようにしないとね!』
11時になった。
「おはようございます!」
白石が入ってきた。
「おはよう♪」
「おはようございます!」
「あ。直美ちゃんはあがっていいよ♪
お疲れ様!」
「はーい!お疲れ様でした!」
白石がお店のテーブルを拭き始めた。
静香が飯田に
「尚ちゃん。女の勘は鋭いから気を付けないと!
陸釣りゲットじゃないですかね?
なんて言ってたわよ!」
「え?高校生の直美ちゃんが?
そんな言葉知ってるんだ!
だってさ。今日はラブホ行けると思うとにやけちゃうんだよな(笑)」
静香は人差し指を口に押さえた。
「ん。今度から気を付けるよ。
楽しみが2つもあると、人間って自然と、にやけてしまうんだよな(笑)」
静香も黙って微笑んだ。
「さ~て!気合い入れるぞ〰️!」
飯田は板前の厳しい顔になり、
店が開店になった。
飯田の予測通り、いつもの1.5倍のお客様が、来てくれていた。
3時過ぎにお客はひけた。
「今日の賄い飯はもつ煮込みと肉じゃがだ!旨そう♪」
白石が椅子に座って微笑んだ。
キャベツの千切りにワカメを混ぜてドレッシングをかけて
「野菜も食べないとな。
特に白石さんはな!」
「あ。すみません。
これが自律神経失調症にいいんですよ♪」
「いただきま~す。」
3人は美味しく頂いた。
「加奈さん?憲一のレシピ作ってみたの?」
「うん!簡単レシピなのに旨いんだ!特にアボカド納豆!」
へえ?そう言えば我が家では、食べたことないけど…
今度作ってみようかな(笑)
「今朝はアボカド納豆に大葉を刻んで混ぜてみたんだよ。
それが、更に美味しかったよ♪これはお薦めだよ!
静香もやってみてよ♪」
「わかったわ♪大葉ね♪」
「師匠の親切レシピは私には嬉しい内容だよ!」
「親切レシピ?」
「うん。アボカドってどう剥くのか知らなかったからさ。
包丁を真ん中まで入れてくるっと回して半分にしたら、包丁の元の尖った部分に種を刺してそのままくるっと回すと、綺麗に取れるまで書いてあったからさ。
そして、スプーンでえぐるように皮を剥がす。
買うときは、黒くなったアボカドを選ぶまで書いてあるから、親切丁寧レシピだよ。」
「へえ♪そりゃ凄いなー。
憲一は小3にして、教え方上手いよな〰️。
俺はそこまで気が回らないよ!」
静香も同感だった。
憲一も、いつの間にか成長していると思うと親として嬉しかった。
「あ。そうそう。静香?
来週のお料理教室は金曜日の夜に行くから、よろしく頼むよ。
日曜日は団体客が入っていて、臨時出勤なんだ!
だから、金曜日は私は休みになったんだ。」
「え?あ。そうなのね。わかったわ。憲一に伝えておくね💦」
苦笑いの静香だった。
来週の金曜日はラブホいけないのか〰️。
と、思うとがっかりの飯田だった。
「じゃあ。お先に失礼するね。」
「お疲れ様でした!」
パタン。
勝手口の扉が閉まった。
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