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451. 始まるイカ釣り大会
5月第3日曜日。
雲が多いが天気は良い。
風は無風で釣り日和だ。
初めてのイカ釣りで静香も憲一も興奮していた。
朝方の潮風は冷たい。
パーカーを着ていてちょうどいい。
「イカは墨をはくから、これを着ているといい。」
そう言って、マリオが100円均一ショップで透明の雨具コートを買ってきてくれた。
「せっかくの服が汚れるの嫌だろ?
使い捨てだから、パーカーを脱いでカッパを着てるといいぞ。」
そうだ。イカは興奮すると墨を吐くんだ。
気をつけて釣らないと、顔まで真っ黒になっちゃうよね?
「さすが!マリオね。」
「ハハハハ。財布を渡して守が買ってきてくれたんだ。」
「ルイージ。ありがとう♪」
憲一が守にお礼を言った。
「さあ!皆さん。用意は良いですか?
ここの沖付近はシリヤケイカ。コウイカ。ヤリイカ。アオリイカなどが良く釣れます。
イカ釣りをする人は、夜イカ釣りをしますよね。
昔はフェリーで夜釣りをしたのですが、海に落ちて溺れた事故があってから、大会は朝からになりました。
エギング釣果は初心者でも、良く釣れます。
ファミリー向けには沖に出て、ルアーで釣るところに楽しさがあります。
イカ達は昼間は、ここの海の底で寝ています。
だからこそ、光るエギングは狙い目なのです。
本日は総重量でチームで優勝を決めます!
今までの優勝者は1番大きなイカを釣った人に賞金が与えられましたが、それは岸からのエギング釣果イカ釣り大会です。
今回はフェリーでの大会ですから、子供も大人も皆で3人チームを作ってください。
どうしても作れないチームは、こちらでランダムに作らせて頂きます。
1番重量が多いチームが優勝です!
よろしくお願いいたします!」
「チーム戦か。まあ、これだけ家族が多ければ急遽変更もやむを得ないな。
よし、尚人は憲坊チームな。
大介はマリオチームだ。
俺の金一封は悪までもデカさで勝負だぞ!
イカだかなら!タコではダメだぞ!」
マリオの一言でチームは決まった。
チーム戦の戦いは始まったのだ!
「憲一?イカはエビが大好きだ。
このエギングはエビの匂いがついている。
そして、エギングは発光するんだ。
それと、エビの先にイカが食いつきやすいように工夫してある。
釣りはエギングの仕掛けが重要だ。
沢山作ったから、これを着けてくれるか?」
「うん!尚ちゃん。ありがとう♪
僕、エギングをお小遣いで買って来たんだけど、あんまり匂いがしないからどうしようかと思っていたんだ。
うわ~。ホントだ!エビの匂いがするよ!
これじゃ間違いなく、僕達チームが優勝だね♪」
それを聞いていた大介が、
「憲坊!そうはいかないよ!
俺達には、プロの守とマリオがいるもんね♪」
大介は残ったおにぎりを頬張りながら、憲一に言った。
「大ちゃん!マリオブラザーズ!勝負だ〰️!!」
憲一の一言で、周りの子供達も本気を出し始めた!
お昼前の11時までの4時間の勝負だった。
憲一のルアーがくるくるといつまでも、海の底に沈んでいく。
「尚ちゃん?ここの海の深さは何メートル?」
「ここは一度深くなって、浅くなってるところだよ。
それでも500mはある。
憲一のルアーの長さは150mまでだ。
イカは海の光が当たらない所にいるんだ。
まあ、100mになれば光は全く当たらないだろう。
光るエギングをエビだと思って、食いつくところを釣るんだ!
何杯も釣れば重量は重くなる!
憲一!俺達は数で勝負だ!」
「うん!そうだね。小さくたってたくさん釣ればいっぱいになるもんね♪」
「憲一♪お母さんが1番乗り~♪」
静香がアオリイカが釣れた。
「え?お母さん!凄い。もう釣れたの?」
見た目2キロ位の大きなアオリイカだった。
「社長が取れたってことは、この海の下に沢山いるってことだな?」
飯田はチワワ結びで釣り糸に2つエギングをつけた。
イカ釣りで2つエギングをつける釣竿は見たことはないが、沢山釣るには持ってこいの場所なのだろうと判断したのだ。
「尚ちゃん。僕にもつけて?」
「いや。これはイカ釣りに慣れてないと面倒になることが多い。
もしかしたら、好まないやり方かもし知れない。
憲一は確実に一杯ずつ釣ってくれ。
俺は試しにやってみただけだ!」
「うん。わかった。」
「あ!また釣れた♪」
静香は調子良かった。
「お母さんに負けたくない!」
3人はいつの間にかライバル同士になっていた。
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