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457. イカ飯
「え〰️。みよばあがひんけつで病院に行ったの?」
学校から帰ると、静香が家にいたので不思議に思って憲一が聞いたのだ。
「来週、結果を聞きにまた、病院に行くのよ。
だから、今度の日曜日はよしばあの所にお見舞いに行きましょう。
よしばあのお見舞いは憲一の元気な顔を見るのが、一番だから。ねっ。」
「うん。いいけど…
今度の休みは加奈お姉ちゃんが来る日だよ?」
「あ。そうだ。
でも、加奈さんが来るのは土曜日だから、日曜日の午後みよばあの所に行けばいいんじゃない?
加奈さんと何を作るの?
それをみよばあの分も作って持って行こうよ♪」
「うん!大きなイカが3杯残っているから、イカ飯にしようと思ってるんだ。
今回はレシピ見ながら作らないと出来ないから…
難しくても、2人でやればどうにか出来るかな?って思ってるんだ♪」
「イカ飯か~♪
うん!いいね。
次の日にお土産として持って行けるね♪」
「そうだね。お母さんもイカ飯作ってね。
3杯作るから丁度いいね。」
「あ!そう言えば、みよばあに冷凍庫にイカが入ってること言ってないや!」
「冷凍庫なら、いいんじゃない?
日曜日に言ってあげたら?」
「そうか。そうだね。」
そんな話をして、いつの間にか金曜日になった。
金曜日に静香が飯田の店に向かっている途中に、メールが入った。
『今夜はホテル行けそうもないな。
親父が入院だから、カラオケ無いしな。
加奈さんは明日、泊まりに来るんだろ?
それに、静香も母親が病気じゃ、心配だろうし、残念だけど、今回は諦めるよ。』
そんなメールだった。
『そうだね。カラオケ無いと、難しいね。早朝になるかもね♪
でも、直美ちゃんが通信教育で学校に行く日になるかな?
今度は1ヶ月に1度かな?』
『え〰️!それは俺としてはきついな〰️。
それじゃ、守ると釣りした帰りに魚と一緒に俺が静香の所に夜這いに行くよ(笑)』
『分かったわ♪』
信号待ちしているときに、ポチポチと打った。
どこの家でも入院している家族が居るって言うことは、結構大変だ。
『それから、来週の月曜日だけど、お袋が手伝ってくれるから心配するな?
静香のお母さんが何でも無いことを祈ってるね』
『ありがとう』
土曜日になった。
今日は午後から白石が来る日だ。
白石も月末の土曜日は、ラウンジのホステスも休みをもらっていた。
飯田の店はもともと土曜日は学生バイトが来るので、白石と静香は休みだ。
「こんにちは~!」
バタバタと憲一が玄関まで、駆けつけた。
「いらっしゃい♪加奈お姉ちゃん!」
「憲ちゃんはいつも元気でいいね。
おばあちゃんはどうだ?」
「うん。昨日、学校から帰ってきてから、自転車でみよばあの所に顔見に行ったの。
よしばあの畑でほうれん草が取れたんだ♪
だから、貧血にいいから持って行ったの♪」
それを聞いた静香は
「え?よしばあに貧血の事を話したの?」
「え?よしばあとみよばあは仲良くて、良く電話して話してるよ?
みよばあがよしばあに話したから、
『憲一。ほうれん草は貧血にいいからみよさんに持って行ってくれや』
って、僕が言われたんだよ?」
「あ。そうなのね。
そっか。お母さんは私より、よしばあに何でも話してるんだね。
仲良いの忘れてたよ(笑)」
「だから、明日の午後からイカ飯作って持ってくよ♪
ってよしばあに言ったんだ♪」
「イカ飯?」
白石が、大好物のイカ飯の話を聞き逃さなかった。
「加奈お姉ちゃん。
今日はそのイカ飯を作るからね♪」
「おお!私はイカ飯が大好きなんだ♪
嬉しいな!イカ飯が作れるんだ♪」
「うん!それもね。この間、イカ釣り大会で釣ったアオリイカだよ!
加奈お姉ちゃん!そのイカを見てビックリすると思うよ♪(笑)」
「アオリイカ?聞いたことないイカだな?」
「アオリイカはね。今の季節は成長盛りだから、1ヶ月で15cmも大きくなるんだよ♪
寿命は1年なの。大人のアオリイカは全長50cmにも、なるんだよ♪」
「へぇ!そうなんだ。
憲ちゃんといると、スッゴク勉強になるね♪」
解凍したアオリイカが台所のまな板の上にのっていた。
「ひえ〰️!これが、アオリイカっていうの?
頭が丸いんだ!
見たこともないイカだね!
こんなに大きくて美味しいのか?」
「美味しいんだよ。
イカの王様なんだよ。
スーパーでは売ってないんだ。
貴重だから、手に入れるには、自分で釣るしかないイカなんだよ?
とにかく、3つ作るからね♪
もち米で作るんだよ♪
僕もお母さんも作ったことないんだ。
イカ飯はみよばあから教えてもらって来たから!
これがレシピだよ!」
「え?師匠が作ったことがないイカ飯をみんなで作るって事か?
なんか、イカがデカイから1つで良くないか?」
「今夜3人で1つを食べて、明日は加奈お姉ちゃんが1つは持ち帰ってもらって、1つはみよばあの所に持っていくんだ♪」
「そうなんだ!私の分があるんだ♪
1週間は食べられるみたいなデカさだな(笑)」
3人はレシピを見ながら、早速作り出した。
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