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462. 検査の結果は
月曜日。
今日は母親を連れて、病院に検査の結果を聞きに行く日だ。
「お母さん?今日はみよばあと病院に行ってから、仕事に行かないでしょ?」
「ええ。まあ。午前中いっぱい病院に居ると思うけどね。
お昼食べたら、帰ってくるわ。」
「それじゃさ。カレー作ってよ♪」
「え?カレー?憲一はカレーが好きよね?」
「うん!カレーは毎日食べても飽きないよ。
お母さんは時間がある日じゃないと、作ってくれないから。
レトルトじゃ嫌だよ?」
「もう!レトルトは私が遅くて夕飯に間に合わないときでしょ!
分かりました。今日はちゃんと時間をかけて作ります!」
憲一は喜んで、手を降って玄関を出て学校に行った。
ああいうちょっとした仕草も、ちゃんと約束したよっていう事よね。
ああいうところが、おばあちゃん達は可愛いのだろう。
よしばあなんて、いつもその手にのせられて、おかずを沢山作っているんだからね。
孫の笑顔はおばあちゃん達にとっては、一番なんだろうと思った。
「さてと!私も出掛けないと!」
7時半前には、実家に着いた。
母親は身支度をして、待っていてくれた。
「お母さん。今日は顔色良さそうね♪」
「ええ。このお薬利くのよ。
多分、このお薬で大丈夫だと思うわ。
ホント、出来れば仕事行きたかった位元気よ♪」
2人は大した事はないと思って病院に向かった。
病院に着くと、もう、患者でいっぱいだった。
「凄いわね〰️。駐車場がいっぱい〰️。8時前に来たのに〰️。」
「静香。この病院ね。朝6時に玄関が開いてるんですって。
予約ボックスが受付の所に置いてあって、8時では、2時間待ちなんですって。
昨日の夜、よしさんから聞いたわ。
でも、検査の結果を予約して聞きに来ただけだから、そんなに待たないと思うけどね。」
「ひえ〰️。2時間待たされるの?
病院の開始時間は9時じゃないの?
それじゃ、後3時間もここに居るの〰️?」
「そんなにかからないと思うけど…
まあ、お薬もあるから、やっぱりお昼まではかかるわね。
今日のお昼は静香が好きなうなぎ屋さんに行きましょ♪
送ってきてくれたお礼よ♪」
「え?うなぎ?いいの?やった〰️!」
「本当に静香は子供みたいにはしゃぐのね(笑)」
あ。母親らしくしなきゃいけないところだったかな?
静香は母親と二人っきりで外食することなんて無かったから、喜び過ぎてしまった。
「関根さん。15号室にお入りください。」
アナウンスの声がしたのは10時すぎだった。
「あ。お母さん。呼ばれたわね。
待つこと1時間だったわね。
予約したから早い方かな?」
「そうね。大きな病院だからこの位の待ち時間は仕方ないわね。」
2人が診察室に入った。
先生がパソコンを見ながら、渋ったような顔で
「血液検査の結果はやはりヘモグロビンが低いですね。
赤血球もかなり多い…
かなりの貧血ですから、お薬は同じものを処方しておきます。」
「ありがとうございます。このお薬はとても効きます。
ずっと飲んでいれば治りますか?」
「そうですね。ただ、血尿が出ています。子宮もしくは腸関係に異常がありますね。
次の月曜日、胃カメラと大腸検査をしますので、看護師の指示に従ってくれますか?
子宮の検査は今からやりますので、産婦人科の方に移ってくださいますか?」
「え?そんなに色々と私の身体はむしばまれているのですか?」
心配な母親は先生の言葉にしがみつくように質問した。
「関根さん?
ここは総合病院ですから、少しの異常を見つけたら片っ端から検査をして、何でも無かったら貧血の薬だけで済むんですよ?
血尿がなんの原因で出ているのか調べるだけです。
一生に一度位はここ要らへんで、精密検査を受けるのもいいことかも知れませんね。」
「……わかりました。
精密検査と言うことですね。」
これで終わりではないと思うと、がっかりして肩を落としていた母親だった。
別室で大腸検査の前の3日間の食事内容と当日の朝に飲む下剤が処方される旨を聞いた。
そして、子宮の検査をしてから、お薬をもらって帰るとお昼過ぎになっていた。
「静香。また、来週よろしくね。
一生に一度位はちゃんと精密検査するつもりで、お母さん頑張るわ。
多分、何でもないと思うから。
さあ。約束のうなぎを食べて帰りましょう!」
母親は何かが吹っ切れたのか、美味しいうな重を食べながら、憲一の事を話題にして2人で昼食を済ませて、帰っていった。
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