471. 最後の晩餐は思い出のうなぎ屋で

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471. 最後の晩餐は思い出のうなぎ屋で

「尚ちゃん。スカートの下。パンティ1枚だから… エッチいいよ。今日はこれでおしまいでしょ? お義母さんは後どのくらいでお店に来るの?」 「いいのか?今日はこれで終わりだ。 多分、お袋が後1時間後にカラオケの準備に来るかな?」 「そう。でも、お義母さんはいつ出没するかわからないから、急いでね!」 「うん。大丈夫。早漏だから!(笑)」 明日は旦那が帰ってくる。 今日はホテルに行って遅くなると、色々連絡があると携帯に出られなくて、変に推測されるのも嫌だった。 母親が手術した後は、病院に早く行ってあげたかったから、来週の金曜日は倉庫さえも無理だったから、今日は生出しOKにしてあげた。 飯田の口付けは情熱的で、いつも静香を酔わす。 前戯を短くして、本番に入った。 飯田の気持ち良さの、なまめかしい顔が静香の顔の上にあった。 「静香?中だしいいのか?」 「うん。」 「あ。あぁ。駄目だ。イ…く。」 ガチャガチャ 「え?お袋か?」 飯田は、勝手口の鍵はかけたが、義母は合鍵を持っていたのを思い出した。 イく直前だったが、あわててズボンをはいて、飯田は倉庫から出た。 「静香はお米の袋を整頓して。その回りを掃除してくれるか?」 焦りながら、2人は何事もなかったように義母を迎えた。 「あら?静ちゃんは?」 「え?ああ。倉庫にいる。 俺がさっき米を動かしたら間違って袋を破いて米が散らばって掃除してくれてる。」 「あらそう。静ちゃん。すみませんね。 早く帰りたいのに。」 義母は倉庫の米袋の上にあるティッシュの箱に目をやった。 ちょっと、不思議に思った義母だった。 目線の先が何なのかわかった静香は 「私、鼻炎なんです。 賄い飯を食べると体の熱が上がるから鼻水が出て…」 平然と言ってのけた静香の言葉に義母の疑いは晴れたようだ。 「それじゃ、チーフ帰りますね。」 「ああ。お疲れ様!」 静香はいそいそと帰っていった。 今回はコンドームも使っていないし、飯田がイく前に終わったので残存するものもなかった。 2人はそれぞれに胸を撫で下ろした。 もう、金曜日の倉庫は使用しないと2人は心に誓った。 土曜日になった。 旦那が午後に帰って来た。 「静香?お義母さんは食事できそうか?」 「ええ。本当に癌なんて思えないほど食欲はあるわ。 入院して、手術するけど… もしかしたら、その後放射線治療もするかも知れないって、先生が言ってたわ。」 「そっか。これから闘病生活が始まるんだな。 妹は看病に来られないの?」 「うん。来週の平日は日本に帰って来るって言ってたわ。 とりあえず、入院することは伝えたわ。」 「世界を飛び回ってる仕事だからな。 仕方ないか。 静香も体に気をつけてな。 静香が倒れたら、それこそ大変だからな。」 「うん。そうね。気を付けるわ。」 「今夜の夕食はうな重でいいか? お義母さんはうなぎは食べられるのかな?」 「ええ。私と同じ大好物よ♪」 「よし、じゃあ決まりな。 静香が好きな筑波山近くのうなぎ屋に行こう。 予約してくれるか?」 「え?いいの?高いのに?」 「ハハハ。お義母さんが手術した後だと、うな重は胃に重いからさ。 病院に行く前に食べらせてあげたいんだ。 遅くなった母の日のお祝いだよ。 もうすぐ、ボーナスも入るしさ。 親孝行しないと罰が当たるよ(笑)」 「え?筑波山の近くのうなぎ屋さん? わーい!わーい! 嬉しいなあ♪」 一番喜んだのは憲一だった。 家族皆で食べる、静香が一番大好きな思い出のうなぎ屋。 二段重ねの特上うな重を旦那は5人分頼んでくれた。 これが、最初で最後の家族での、うなぎ屋での会食になるのだった。
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