472. 帰宅して

1/1

278人が本棚に入れています
本棚に追加
/675ページ

472. 帰宅して

うなぎ屋から帰宅すると、旦那は憲一と、お風呂に入った。 お風呂から出てくると、旦那が 「静香。俺、手術の日の木曜日会社を休むことにしたよ。 有休休暇沢山残ってるしさ。」 「え。いいの?」 「ああ。お袋が何も出来ないけど、手術室の前に居てあげたいと言ってるしさ。 手術から目覚めた時、皆がいた方が心強いだろ?」 「ええ。そうね。よしばあも来てくれるの?」 「お袋達は姑同士と言うより、友達同士みたいな関係だからな。 親父も肺がんだったろ? もう、気が気じゃないみたいなんだよ。」 「そうね。2人とも、夫を亡くしたのも同じ年だったものね。 お義母さんはきっと寂しいのね。」 「それでさ。明日、日曜日なんだけど会社が今月決算でさ。 俺が居ないといけないんだ。 午後から、工場長と在庫確認したりするから、静香? 悪いけど、明日の朝食7時にしてくれるか? 食べ終わったら、すぐに社宅に戻るから!」 「わかったわ。よっちゃんも大変ね!」 「仕方ないよ。期待もされているし、何でもわかるのは俺位だからな。 その代わり、今度の木、金って連休とったから。 4日間休みということさ。 次に帰ってくるときは、ゆっくりしようと思うよ。」 「そうなのね?それじゃ、金曜日は憲一と夕飯作ってくれると助かるわ。金曜日は遅くなるから!」 「うん。わかったよ♪ 実家に憲一を連れて泊まるかもな。 お袋もたまには泊まっていけってうるさいからさ。」 静香にとっては好都合だった。 「お義母さんも寂しいのよ。 お互い片親だものね。 お母さんが元気な時、もっと憲一とお泊まりに行ってあげれば良かったかなって今になると、思うわね。」 「そうだな。今からでも遅くないさ。 俺は兄貴や妹に比べれば、親孝行はしてるつもりだ。 草刈りは俺だけしてるしな。 静香のお母さんは綺麗好きだから、良く草刈りもしてたけど、今度は静香がやる番だな。」 「え?あ。そうか。やだな〰️。お庭がここと、実家と2つになるってこと?」 「そう言うことだな(笑)」 「え〰️。実家はここの3倍あるんだけど〰️。私も楽じゃないなあ。 これから、どんどん草が伸びるのに〰️。 考えただけでも、疲れがドット出るわ〰️。」 「お母さん?よしばあは草刈り機使って頑張ってるんだから、お母さんも見習った方がいいんじゃないの?」 「よしばあの所は私の実家の5倍はあるわよね? よっちゃんは何処を刈ってるの?」 「実家の裏の土手だよ。後、田んぼの回り! 足腰に力が入るから、お袋では腰が痛くなって駄目なんだ。」 「なんか…年取ると…土地なんていらないね💦」 「ねえ?みよばあがヨボヨボのおばあちゃんになって、天国に行ったら、実家どうするの?」 静香は考えた事もなかったが、確かにいずれは空き家になるんだ。 「美咲お姉ちゃんが住むのかな?」 *憲一は美咲が高校生の時に生まれたので、お姉ちゃんと言っていた。 「うん。遠い未来の話だから。 美咲はお嫁さんに行っちゃうと思うから… ( * 美咲は今も独身。マンション買って住んでいる。) 下手したら、海外かもしれないし、こんな辺鄙な所には住まないと思うよ? もしかしたら、憲一の家になるかも知れないわね。 お嫁さんと2人で、実家を建て直して、住んだら?」 「え?お嫁さん?駄目だよ。その前にお店を建てないと! でも、ここでは商売成り立たないよ。」 「え?」 「マリオがね。商売は場所が8割。味2割なんだって! 不動産屋さんだからわかるんだって!」 「そうね。お母さんもここではゲームソフト店にはしなかったし、街にでないと商売は無理ね、 その時になったらマリオに相談するといいわ♪」 「うん。そうする。」 「ハハハ。憲一は夢があっていいなあ。 よしばあもあっちこっちに土地があるから、兄貴が帰って来ないときは、土地を売れば金になる。 まあ、バブル弾けて売れないかもだけど… それでも何かの役にたつ時あるだろう。 憲一のその夢叶えるために、お父さんも頑張って働くからな!」 静香はチクリと胸が痛くなった。 憲一は岡野家に置いて行くしかない… お腹の子…本当は旦那の子供かも知れない子… 兄弟をバラバラにさせようとしている私は罪深い女なのかも… 離婚になることで憲一の気持ちは…夢は変わらない? 子供の事を第一に考えたら… 独りで住んでいるお母さん達の事を考えたら… 憲一を1人にして… まだ小学生3年だ。 1人でなんて生きていけない… 義母に世話をかけることになる。 義母はちゃんと見てくれると思うけど… 義母も年を取る… 義妹は酪農家の嫁に娘を連れて、長野県に行っちゃったし、 義兄は籍はまだだけど、仕事の関係で静岡に居て、同棲しているし… 義母の老後の世話をするのは不可能だ… よっちゃんが再婚すればいい話だけど… きっと…しないような気がする… 憲一は多分、こんな私を恨み続けると思う… もしかしたら、尚ちゃんと同じ運命になるかもしれない… 違う。尚ちゃんの本当のお母さんは病死だから…状況が違う。 加奈さん…とも違う。 間違った行動に出ようとしているのは…きっと私だ! 静香はお風呂の中で、頭がぐちゃぐちゃになって考え込んでしまった。
/675ページ

最初のコメントを投稿しよう!

278人が本棚に入れています
本棚に追加