476. いよいよ手術の日

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476. いよいよ手術の日

静香は飯田から、とりあえず2週間は休んで母親の所にいてあげてと言われて、休みを貰った。 飯田の母親がピンチヒッターだ。 皆に迷惑をかけるが仕方がない。 でも、直美の通信教育の友人が新しくバイトに入ったようだ。 義母と、交代交代でバイトしてくれるようだ。 直美とバトンタッチのように、友人はウエイトレスでやってくれるようだった。 ちょっと、静香は安心した。 手術室の前にいても役には立たないが、手術後直後は先生と母親の変わりに話を聞かなくてはいけない。 手術は6時間に及んだ。 結構大手術だった。 午前中に入って、手術室から出たのは午後4時過ぎだった。 静香と旦那と旦那の母親と3人で、手術室前に座っていたが、途中売店でお弁当を買って交代で食べた。 旦那は2時過ぎに憲一を連れてくると言って、迎えに出た。 ちょうど、手術室のランプが消える頃、憲一を連れて戻って来た。 「みよばあは大丈夫?」 憲一が心配そうな顔をして、よしばあに聞いていた。 「うん。麻酔はまだ効いたままだけど、先生が手術は成功したって言ってたから、もう安心だよ。」 「目が覚めるのは夜かな?」 「そうね。集中治療室に運ばれたから、今日は看護師さんに任せて帰るしかないわね。 今から、先生に呼ばれているから…よっちゃんも一緒に聞いてて欲しい。」 「もちろんだよ。お袋と憲一は集中治療室にいてくれるか?」 「はいよ。目が覚めて誰も居ないと不安になるから、憲一と一緒にいるよ。」 義母と憲一は集中治療室に入っていった。 静香と旦那は先生の診療室に向かった。 担当医は手術直後で疲れた顔をしていたが、明日は担当医が休みなので、来週の月曜日まで、結果を延ばすことは出来ないから、手術後、すぐに結果を聞くことが出来た。 先生はパソコンで手術の写真を見せてくれた。 「かなりすい臓の中は癌におかされていました。 なので、綺麗な部分の膵臓を残して、残った膵臓を小腸につなぎ、すい液が小腸に流れ込むよ うにするには苦難の技の手術でした。 ただ、膵頭十二指腸切除術の場合 前にも説明しましたが、十二指腸、胆管、胆のうを全て全摘出しました。 本人の体もかなりのダメージは大きいと思います。 これから1週間は絶食です。 それから、徐々に流動食になり、普通の食事が出来るのには3週間後かもしれません。 癌との闘いではなく、空っぽになった内臓との闘いになります。 小腸が十二指腸の役割を担うため健康だった胃腸にも変化がおきます。 潰瘍が出来やすく、出血しやすいので胃酸過多に注意が必要かと思います。 とにかく、入院中は食べられませんからみるみる体重は落ちて行きます。 点滴でちゃんと栄養は補給しますが…やはり、口からの食事ではないので…痩せますね。 退院した後が大変かと思います。 体全体の筋肉がかなりなくなっていくので、かなりのリハビリも必要です。 普通の生活に戻るのに…個人差ですが3ヶ月から半年以上はかかります。 ただ、膵臓を半分以上切ってしまったので、お母さんの場合、小腸の機能に結構な負担がかかります。 癌が転移したり、リンパ腫になりないように大手術をしても、気持ちがナーバスになり、いつもネガティブの事を考えていたりすると、胃腸も潰瘍から癌になったりします。 また、血液の循環が思わしくないと…リンパ腫に転移してしまいます。 お母さんの場合はギリギリの所にいます。 リンパ腫…の余談は出来ません。 毎月、血液検査は続けていきます。 とにかく、明日からは家族が明るく本人を励ましてあげてください。 家族内のいざこざや、 心配事はさせないことです。 ストレスが一番良くありませんからね。 今回は手術は成功しましたが、手術後は本人の努力と家族の暖かい支援が早く治る鍵ですからご協力お願いしますね。」 「はい。」 静香は深く頷きました。 旦那との離婚、再婚の話なんて…死んでも出来ないと思う静香だった。
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