481. 静香の不調

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481. 静香の不調

トラックと危機一髪で衝突事故を免れた静香は、前の事故の恐怖心が沸き上がり、車の不調もあり、右折すると直ぐに路肩に止めた。 ドキドキと震えが止まらなかった。 額も背中も冷や汗でびっしょりだ。 『もう少しで、トラックにぶつかるところだった。 二度と事故なんて嫌よ! それじゃなくても、人身事故をしてしまったから、6点も取られて行政喰らったのに! また、事故を起こしたら、違反点数がプラスされてしまって点数が無くなってしまう…』 そんなことを興奮しながら、考えていたら腰がどんより重くなった。 少し、落ち着つきを取り戻した静香は、後500mでディーラー店に着くので、頑張って運転を再開した。 そして、ノロノロ運転でディーラーにたどり着いた。 身体の震えが収まり、車から出てスタッフに交差点で危うく事故る所だったと話ながら、車は修理工場にスタッフが乗って行ったのである。 ソファーで静香が座っていると、スタッフが 「お待たせしました、岡野様。 エアフィルター、プラグ、燃料フィルターなど影響がある部品を特定しトラブルシューティングをしました。 全ての点検。バッテリー液の補充、オイル交換をしました。 もう、大丈夫ですのでこのまま運転してお帰りください。 ただ、6ヶ月点検をお待ちしていたのですが… ハガキは送っていたので… お電話を何度かおかけして… お出にならなかったので…」 「あ。そうだった。 ごめんなさい。母親の入院で忙しくって… 忘れていました!」 今回は無料で全てを点検してくれた。 「お気を付けてお帰りください。」 スタッフに粗品を沢山頂き、ソファーを立とうとした時に、生理痛の激痛が走って静香はしゃがみこんでしまった。 「岡野様!大丈夫ですか?」 「すみません。おトイレお借りします…」 静香は急いでトイレに駆け込んだ。 下痢の腹痛の痛みではない。 生理痛の激痛の痛みだ。 凄い出血の量だった。 『もしかして、流産?』 静香は流産の経験はない。 ただ、友人が旅行先でのトイレで生理痛と共に大出血して、大変だった話は聞いていた。 旅行を中断してそのまま産婦人科に行って、流産した事を医師に告げられたと言う。 この場合、子宮に残骸が残っている場合が多いから、大出血したら必ず産婦人科に行く事とも、友人から聞いていた。 長い時間、トイレに閉じこもった形になった静香だったが、青い顔をしてトイレから出てきた。 「岡野様?大丈夫ですか? 今から、お母様の所に行くのですよね? 乗せて行きますから、病院で診てもらった方がいいのでは?」 スタッフが心配そうに尋ねた。 静香は黙って頷いた。 『赤ちゃん…私の赤ちゃんが…』 静香はディーラーのスタッフに運転してもらって、母親の待つ病院に送り届けてもらった。 もう1台が後から付いてきて、静香の車を運転したスタッフは静香を受付まで抱えるように連れて行ってくれた。 産婦人科の前だった。 「え?何も言ってないのに… どうして?わかったの?」 「はい。この間…妻もトイレに駆け込もり…流産してしまった事がありまして… 岡野様の『赤ちゃん…』の一言でわかりまして… 何の力にもなれませんが… 事故にならないで良かったですが… 赤ちゃんが無事だといいですね…」 ディーラーのスタッフがそういって、帰って行った。 「岡野さん。お入りください。」 静香は医師にさっきの事を話すと 分娩台に乗せられた。 「事故しそうな時のショックが大きかったのでしょう… 悲しい事ですが…流産しています。 子宮を洗浄しますね。」 女医はそう言うと、残骸を綺麗に洗い流してくれた。 静香は1人涙した。 私が産むかどうするか悩んでいたから… この子は自分で命を絶ったのだ。 そう、思うと後から後から涙が止まらなかった。 「先生。流産したことは母親には伝えないでくださいますか? 自分も母親の病気のショックで生理が遅くなっていると、思っていたので… 母親が、自分のせいだなんて思われたくもないのです!」 「大丈夫ですよ。 先生も違いますし、患者さんも違います。 守秘義務ですから、安心してくださいね。 ここのベッドで2時間は横になって、休んでください。 お母様には、お仕事が遅くなってしまった。って言えば済むことです。 今は、あなたの身体を第一に考えてくださいね。」 女医はそう言うと部屋から出て行った。 看護師が静香がベッドに横になると、布団を掛けてくれた。 「点滴をしますね。約、2時間で終わります。 終わりそうになったら、ベルでお呼びくださいね。」 静香は頷くと看護師も病室を出ていった。
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