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485. 今日は厄払い
今日は日曜日。
朝食の時に、
「憲一?今日は1日みよばあの病院にいるから、よしばあの所にいてくれる?
まあ、暗くならないうちに帰って来るけど…」
「え~?
あのね。今日はまあ君と遊ぶ約束したんだ♪
夕方までには、よしばあの家に行くよ!
それで、いいでしょ?」
「まあ君?」
「お母さんは忘れてるけど、今日は午前中は空手の道場の日なんだよ?
それから、一端家にも戻ってお昼食べたら、まあ君の家に遊びに行くの!
結構僕のスケジュールは忙しいんだよ?」
「ハイハイ。わかりました!
それじゃ、車に気をつけてよね?」
「お母さんに言われたくないよ!」
「全くもう。ああ言えば…」
「上祐でしょう?」
「可愛くない憲一ね!」
静香の計画は、午前中は母親の所にいて、お昼前には病院を出て、飯田と厄払いをしに行く流れになっていた。
「憲一?お昼はサンドイッチを作って冷蔵庫の中に入っているからね♪」
「うん。ありがとう♪
じゃあね。空手に行ってくるね。」
時刻はもう、9時近くになっていた。
「あ。こんな時間!
私も出なくちゃ。実家に行って、水まきと雨戸開けて来なくっちゃね。」
もう、そろそろ母親が入院してから、3週間が経とうとしていた。
庭先を見つめると草がぼうぼうにしげっていた!
母親が家に居るときは、こんなに草が生えている庭は見たことなかった。
『よっちゃん…草刈りはシルバーを頼むと言ってくれたけど…
母親が退院する前にやらないと…
母親が幻滅してしまうよね?』
静香はシルバー人材会社に電話をして、草刈りを明日頼むことにした。
『あ。よっちゃんにメールしておこう。
お金は後でもらわないとね♪』
「さてと。病院に行きますか!」
10時過ぎには病院に着いた。
病室に入ろうとすると、話し声が聞こえた。
静香がドアをひくと、そこには主治医が立っていた。
「おはようございます。
先生?母親の経過のお話をしていたのですか?」
「ああ。おはよう。
明後日の火曜日が退院の日だよね。
今日は内臓の様子をもう一度、MRIで検査しようと思ってね。
それから、今後の治療方針を決めるつもりなんだ。
30分後に看護師が車椅子を持ってやってくるから、1階までお願いしたい。」
そう言うと、主治医は帰って行った。
「MRIって嫌よね。
ドームの中に入るだけだけど…
20分もじっとして、動いちゃ駄目なんですもの…
まあ、今なら耐えられるけど…」
確かに!
痛い時も困るけど、鼻が痒くて仕方なかった事を思い出した。
集中すればするほど、痒さが増して拷問を受けてる感じがした時があった。
母親は看護師に車椅子で運ばれて行った。
静香も一緒について行った。
「どのくらいで終わりますか?」
「はい。今日はMRIに入って終わりですから、11時過ぎには病室に戻れます。
午後から、リハビリがありますが、お風呂に入るのは明日ですから、それから、ゆっくりしていてくださいね。
明後日は退院ですから、明日の午後から、これからの治療方針を打ち出されますから、3時までには娘さんも来てくださいね?」
「はい。わかりました!」
母親がMRIに入ると、静香は飯田にメールをした。
『お昼に来てください。今、MRIに入りました。結果は明日午後3時みたいなので、明日は出勤するけど、2時に上がらせてくれますか?』
『OK。明日の件はわかったよ。
お昼に下のロビーで待ってるよ♪』
母親のMRIも終わり、病室に戻り
「お母さん?何か買ってくるものある?」
「うん。別に無いわ。
あ。テレビのカードが無くなったから、お願いできる?」
「わかった。今、買ってきてあげるね♪」
静香は1000円のテレビ用カードを2枚買ってきた。
ここ5日位、テレビを見る元気が出て来たからだ。
その前までは、ご飯も少ししか食べなくて、食欲がなく寝ていてばかりいたからだ。
リハビリは大切だ。
動くとお腹が空いてくる。
食欲が出て来ると、心のゆとりも出て来るから、雑誌や新聞やテレビを見るゆとりも出て来るのだ。
「はい。2枚買ってきたよ♪
1枚は私のおごりよ。
面白いテレビを見て、早く笑顔のお母さんが見たいから♪
それじゃ、そろそろお昼だから帰るね。
実家の掃除をしなくちゃね。
憲一が美咲の部屋を自分の部屋にしたいみたいだから(笑)」
「え?そうよね。憲一の部屋にしてもいいわ。
美咲はツアコンしている間は東京に住んでいた方が、何かと便利だものね。
美咲が実家に来るときは、客間でいいわね。」
母親の了解ももらった。
手を振ると静香は病室を後にした。
エレベーターで1階に降りると、既に飯田はロビーに座りテレビを見ていた。
知っている看護師もいたので
「尚ちゃん。時間差で出よう。
第2駐車場よね?後から行くから。」
「OK」
飯田は駐車場に向かった。
売店で飲み物を買って、静香は違う出口から出て行った。
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