485. 鹿島神宮

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485. 鹿島神宮

「静香!こっちこっち!」 飯田が駐車していた車の窓から、顔を出して静香を呼んだ。 「お腹ペコペコ~。 尚ちゃん。ランチ食べてから厄払いに行こう♪」 「そうだな。俺もペコペコだよ。 何を食べたい?」 「えっと。そうね。そこのくるくる寿司は?」 「ん?そうだな。そうするか。 好きなだけ食べられるしな♪」 2人はくるくる寿司店に入った。 テーブル座席は、お客さんで賑わっていた。 2人はカウンターで食べることにした。 「尚ちゃん?厄払いって何処まで行くの?」 「うん。色んな神社あるけどさ。 やっぱり、海の近くの鹿島神宮がいいよな。 あそこは予約無しで行けるし、30分毎にお祓いをしてくれる。 そうだ。静香の車で行こうか? 厄払いもあるけど、車のお祓いもしてもらおうか? 新車を買ってお祓いしてないだろ? この際、厄年。交通安全。健康祈願。全てやってもらおう! 祈願料金はいくらでもいいんだからさ。」 「そうね。それじゃ、駐車場に戻るわ。 確かに、新車なのにエンジン故障ってねあり得ないしね。」 「そうだよ!あれで事故ったら俺が殴り込みに行ってたよな!」 「尚ちゃん?そんな…やくざみたいな事…駄目よ?」 「亭主だったらの話だよ! 駄目だよ?静香は悪くないんだから! アメリカだったら、裁判になるよ? 静香は大人しすぎるよ? それじゃ、いつになっても離婚出来ないよ?」 確かに尚ちゃんが言ってることは正しいかも知れない。 私は大人し過ぎるのかな? よっちゃんも殴り込みなんてしないけど… あの時事故ったら、裁判になるかも知れないかな? そんな事を考えるとナーバスになり、静香は黙ってお寿司を食べていた。 「静香?傷つけた事言ったよな? ごめんな。これから厄払いしに行くのに… 俺も一緒に厄払いするよ! やくざみたいな気性を直したいし、お店の繁盛と俺の後厄もあるしな!」 「あ。男は25歳が厄年だったわね。そっか。尚ちゃんも厄の中に入っていたのね?」 「ん。静香は本厄。俺は後厄だ。 ダブル厄年だから、今回みたいにどっちの親も入院して、子供も下りちゃたんだと思うと…厄年って良くない事が起こるのは当たり前なのかも知れないな。 厄払いは大切なことなんだと、しみじみ思い知らされたよ!」 「…そうね。」 ***(人生は山あり谷あり。古くから人々は、特に気をつけなければならない年回りを「厄年(やくどし)」と呼んでいた。 一般的に男性は数え25歳、42歳。 女性は数え19歳、33歳が「厄年」にあたる。 中でも男性の42歳、女性の33歳は万事を慎むべき「大厄(たいやく)」とされいる。 この年齢は現代でも人生の大きな転機を迎える年回りで、神社でお祓いを受け、神々の御加護で無事に過ごせるように祈ろう。) 2人は一端、駐車場に戻り、静香の車に乗り換えて、鹿島神宮に向かった。 約1時間20分走ると、鹿島神宮に着いた。 ****鹿島神宮は茨城県鹿島市に鎮座する創建紀元前660年と日本最古の古来の神宮とよばれている。 全国に600社以上ある総本社が茨城県の鹿島神宮だ。 「鹿島神宮は、日本建国・武道の神様である「武甕槌大神」を御祭神とする、神武天皇元年創建の由緒ある神社なんだよ。 空手をやってた俺は、小学生の頃から先生に連れられて、大きな試合前にここに祈願に来ていたんだ♪」 『へえ。ちょっと意外!神も仏も信じないようなやんちゃな尚ちゃんだと思っていたわ。』 「あ!静香?意外な一面を見たって顔だよな?」 「え?そ、そんな事ないわよ? あ。鹿!沢山いるのね♪」 「ああ。『古事記』によると、天照大神の命をタケミカヅチに伝えたのは天迦久神(あめのかくのかみ)とされるようだよ。 この「カク」は「鹿児(かこ)」すなわち鹿に由来する神とされることに基づき、神宮では鹿を使いとするというんだ。 また、神宮の社名が「香島」から「鹿島」に変化したことについても、神使の鹿に由来するといわれるらしい。」 「鹿が神様の使いなんだ。 へえ♪尚ちゃんって鹿島神宮の事になると凄く細かく知ってるのね♪」 「え?ああ。これは全て空手の先生が教えてくれたことだよ♪」 2人は森林の鳥居の中へと入って行き、厄除けの話を社務所に伝え 受付を済ませると、神社の中に入って行った。 30分毎に厄祓いをしてくれるので、直ぐに厄年の厄祓いと健康祈願をしてもらった。 後で車も乗って来れるところまで行き、車も厄祓いしてもらった。 「よし、これでこれからは良い年になるよな♪ さてと、ちょっと大洗までとばすよ♪」 「え?大洗?海釣り?とか?」 「ハハハ。まさか!もう、3時だぞ?守は帰っちゃたよ!」 『あ。そうだった。日曜日は守さんたちと海釣りだったのに… 母親の入院で私と憲一はお断りしたけど…』 「ごめんなさいね。私の為に… 今日は海釣りの日だったのよね?」 「え?何言ってんだよ? 今日は釣りなんかより厄祓いの方が大事だろ? 皆、去年俺の親父が倒れ入院している時に鹿島神宮に来ていたんだ。 俺だけ、来られなかったんだ。 それに、今日は第2日曜日だから、守しか海に出ていないよ。 大ちゃんとマリオは昨日の夜から麻雀していて、守と俺は朝方雀荘を出たんだ。 大ちゃんとマリオは今頃、まだ雀荘で寝てるかもな(笑)」 「え?それじゃ、尚ちゃん…寝てないの?」 「ハハハ。いつもの事だよ♪」 大洗マリンパークに着くと 「あれ?守の車がまだ、マリンパークの駐車場にあるな?」 「あ!マリオのフェリーじゃないの?」 静香が指差す先に、マリオのフェリーはあった。
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