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486. 守が熱中症?
2人はフェリーに駆けつけた。
「守?守は居るのか?」
返事が帰って来なかった。
「静香。ちょっと、中に入ってみるよ!待っててくれるか?」
「ええ。ここにいるわ。」
飯田はフェリーに勢いをつけて
跨いだ。
『私は無理だわ。渡れない…海に落ちちゃうよ』
暫くすると、飯田が守を抱えて姿をみせた。
「え?守さん?どうしたの?具合が悪いの?」
「ああ。カジキが釣れそうで、2時間も耐久レースしていたようだよ。
最後は守のスタミナ不足で逃げてしまったらしい。」
「今回は俺の負けだ。
せっかく、デカイカジキが釣れそうだったのにな。
がっかりして、引き返したんだ。
なんか、波止場まで戻って来たら、頭がフラフラして、いつの間にか倒れたように寝ていた(笑)」
「気絶していたんだよ?
ったく! 寝ない上にカジキと戦って!
多分、熱中症だぞ!
救急車で運ばれる所だったんだぞ!
静香!水を沢山買ってきてくれないか?」
「わかったわ!」
静香は自動販売機で水を買ってきた。
飯田はまず守に水を飲ませ、フェリーにあったタオル2本を静香が買った冷たい水で濡らし、守の頭の上と首にあてた。
守の顔の血の気が戻ってきた。
「ありがとう。尚人は俺の命の恩人だな。」
「病院に連れて行くか?」
「いや。大丈夫だよ。初めてじゃないし、もう少し休んで、運転して帰るよ。」
飯田が
「それじゃ、俺が守の車を運転して一緒に帰るよ!
悪いけど、静香?
俺はここで守といるから。
1人で帰れるよな?」
「え?あ。うん。大丈夫よ。慣れた道だから♪」
「え?デート中だったんだろ?
いいよ。悪いから。あ。鹿島神宮に行ってきたのか?」
「ああ。そうだ。俺だけ後厄祓いにな!
静香は厄祓いと交通祈願と健康祈願だ。」
そうだ。守さんは私達の仲を知っているんだったわ。
今日の事、守さんとは話していたんだ。
「それじゃ、尚更悪いよ。」
「え?いいんですよ♪
もう、今日の目的は終わったから♪
それじゃ、尚ちゃん。守さんを送ってあげてね♪」
静香は手を振って帰って行った。
ちょっと、物足りないデートだったけど、仕方ないわね。
そう言うと、静香はエンジンをかけた。
「静香!ごめんな。」
後から飯田が追いかけて来てくれた。
助手席に飯田は座ると静香の肩を抱き寄せ、キスをした。
「尚ちゃん。守さんに見られるよ!」
不意の事だった静香は驚き、思わず飯田から唇を離した。
「守は知ってるし、見ていないよ。
たとえ見られたって構わないよ。
守も大事な友達だけど、静香は世界で一番大切だからな!」
もう一度、飯田は静香と唇を合わせた。
「本当はホテルにも行きたかった…でも、今回はホテルは我慢したんだ。
子宮を早く元に戻してほしいから!」
「尚ちゃん…明日はお店に行くね。早く帰るけど…
今度の金曜日、フェラしてあげるね♪」
「お♪わかった。約束な♪
じゃあな。運転にはくれぐれも気を付けるんだぞ!
まあ、厄祓いしたから大丈夫だよな♪」
飯田は静香の車から出ると、手を振って見送った。
静香が、家に着いたのは5時過ぎだった。
家を軽く掃除してから、洗濯物を畳んで、お風呂を洗った。
それから実家に行き、金魚に餌をやり、鉢に水を与えた。
雨戸を閉めて、憲一が待つよしばあの家に向かった。
「何か、家が3つもあるみたいで疲れる〰️💦」
憲一を迎えに行く頃は、テレビでサザエさんのテーマソングが流れていた。
「こんばんは!静香です。
お義母さんすみません💦
憲一がお世話になって!」
「え?世話なんてしてないよぉ
さっき憲一も来たばかりなんだよ。
さあさあ。夕食食べていっておくれ?」
静香が、居間に座ると
刺身と天ぷらが出て来た。
「わあ。よしばあの得意な天ぷらだ~♪
よしばあの天ぷらは日本一だよね~♪」
憲一がお世辞染みた言葉を使った。
「わぁ。美味しい!サクサクしてる天ぷらだわね♪」
「ホント!お母さんが作る天ぷらと天と地の差だよね~♪」
「え?天と地の差?
まあ、そうかもね。
私が作る天ぷらは初めはカラッとしてるけど、時間が経つと柔らかくなっちゃうからね💦」
「静香?天ぷら粉はあまりかき回しちゃダメなんぞ?
粉の玉が残っていた位が、いいんよ。
おれは十文字切りに混ぜてんだよ。
静香もやってみ?」
「十文字切り?」
「アーメンでいいの?よしばあ?」
憲一が口を出す。
「ああ?アーメンは十字架だな?(笑)」
「そっか。私はホットケーキ作るみたいに混ぜすぎてたんだ。
こんど、そうしてみるね。」
夕食は料理の話に花が咲いた。
義母も賑やかな夕食に楽しそうだった。
母親はもう、油ものは食べられないかも…
そう思うと、健康は一番の宝だと静香は噛み締めて、食事をした。
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