489. 飯田に面会

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489. 飯田に面会

静香は飯田が入院している病院に着くと案内の受付を済ませ、エレベーターで病室まで急いで行った。 そこは男性4人の相部屋だった。 4つともカーテンが引かれてあった。 尚ちゃんのベッドは? 病室の入り口に名字が貼られていた(個人情報保護法がまだなかった時代) 窓際の右側のベッドだった。 そっと、カーテンを覗き込みと飯田が寝ていた。 「尚ちゃん?」 静香の声に反応した飯田は目を覚ました。 「静香?どうしてここに?」 飯田はベッドから起き出した。 「談話室に行こう。」 飯田は右腕を包帯でぐるぐる巻きにされていて、三角巾をしていた。 「尚ちゃん?腕の骨を折ったの?」 「いや。ヒビが入っただけだ。 ただ、割れたデザートの入れ物の破片が…腕に突き刺さってな。 神経にさわってるみたいで… 大したことがないのに、腕が動かせ無いんだ。 俺もさ。右腕は命だからさ。 今回だけは先生の言うことを聞くことにしたよ! 喧嘩ばかりしていた昔なら、こんなの擦り傷くらいの傷なんだけどな(笑)」 横顔はそう笑っていたけど、右腕の神経がさわっているって… 結構深刻な問題なのではないかと静香は思った。 自動販売機が目に入った静香は 「尚ちゃん。何か飲む?」 「ん。ここは伊藤園の自動販売機しか無いからな。 水でいいや。」 いつも飲むドクターペッパーがここには無かった。 静香もミネラルウォーターにした。 「静香。ごめんな。当分、包丁を持てそうにもない。 俺が作れなかったら、今の食堂は無理だしな… 一昨日、厄祓いしてきたのにさ。 なんたる事だよな!」 飯田の悔しい思いの心の声まで聴こえそうだ。 神経をやられていたら、食堂を継続するのも難しい。 腕のヒビは骨折より長引くと言っていた人がいた。 2ヶ月はお店を休業しないといけないかも知れない。 その先、再開できるかどうかもわからない。 「尚ちゃん。きっと、厄祓いしたから、この位の怪我で済んだのよ♪ きっと、治るわ。ちゃんと元通りの尚ちゃんの腕になるわよ! それまで、私は母親の看病をしながら、尚ちゃんが完治するのを待ってるわ♪ 今は2人とも、心を休める時期なのよ♪」 静香の言葉に 「心を休める時期? そっか。そうだな。俺達の子供がそう仕組んだのかもな。 俺さ。静香の顔を見るまで… 神がいるのだとしたら… 静香を諦めなきゃいけない!って言われてるのかな? なんて思ってさ。メールするのも、電話するのも躊躇しちゃたんだ… でもさ。神にどんな姿にされても! 俺は…俺は…静香を諦められないんだ!」 「尚ちゃん…」 ああ。尚ちゃんは私と同じ気持ちなんだ。 諦めようとすればするほど…会わずにはいられない。 「静香。ちょっと。シャワールームに来て。 今の時間は誰も使用してないから。」 夕方、人気のないシャワールームに2人で入り、静香が棚にあったタオルを洗面所のお湯の蛇口で濡らして、飯田の体を拭いてあげた。 背中を拭いて、お尻を拭いてあげたら、急に飯田が前を向いた。 「フェラお願い。」 静香は黙って頷き、シャワールームで直下立っている竿を温かいタオルで拭くと、咥え始めた。 「真ん中の足は本当に元気だよな(笑) 静香に背中を拭いてもらっただけなのに、なぜか感じてしまうんだ。 あぁァ。……気持ちいい〰️。」 静香の口の中は飯田の白濁でいっぱいになった。 飯田は水を飲むと、静香の唇に口移しをして水を飲ませた。 「静香は俺の心の妻だ。 ありがとう。」 そう言うと、熱い口付けを交わした。 夕方5時半から6時半までは、シャワー使用は夕食の為に誰も来ないのだ。 看護師も薬を飲ませたり、検温したりで忙しい時間帯なのだ。 2人だけの密室がそこにはあった。 「じゃ。又メールいれるよ♪」 シャワールームを出ると、静香は病院を後にした。 静香は車の中で母親に電話をした。 チーフが入院したのを白石から聞いて、大学病院に行ったこと伝えた。 「大丈夫よ。憲一が夕飯作ってくれたわ♪」 「え?憲一が?」 静香は急いで、実家に戻って行った。 「お帰りなさい♪ 尚ちゃん、怪我して入院しちゃったの?」 「うん。腕の骨にヒビが入って、ガラスの破片で腕が突き刺さって、神経がやられてしまったみたい。 だから、治るまでお店は休業なんだって! 2ヶ月位かかるかもね?」 「あらま。大変ね。静香も職を失ったわね…」 「でも、ちょうどいいんじゃない? これで、お母さんの面倒を良くみられるわ♪」 「え?私はもう、大丈夫よ。 憲一がいれば、静香は何処かで働いていいわよ♪」 「え?憲一でいいの?」 テーブル上には、野菜たっぷりのおじやと、しらすがのっただいこんおろしとお新香が並んでいた。 「お母さんと僕はいか飯だよ♪」 「え?これを全部憲一が作ったの?」 「いか飯は私が作ったわ。 静香に貰ったけど、いかは消化に悪いから食べられ無かったのよ。 だから、作れて良かったわ。 憲一と一緒に料理を作ると楽しいわね♪」 そこに、憲一が 「お母さんは働き頭! 僕はみよばあのヘルパー。 このコンビって最強だよね(笑)」 と、言い放った。 久々に、母親と家族団らんで夕飯を食べた。
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