494. 1じぃと1ばぁ?

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494. 1じぃと1ばぁ?

「静香?今度チーフの所に様子見に行ってみないか?」 「そ。そうね💦 私もちょっと心配で、昨日メール入れたの。 そうしたら、なんか今度神経を繋ぐ手術をするってメールあったわ。」 「神経を繋ぐ手術?」 「ほら。椅子から倒れたときに、デザートの器が割れて腕にガラスの破片が突き刺さったって言ってたでしょ? 腕には手を動かす神経が流れているんだって! それを繋げないと不自由な手になってしまうみたいよ?」 「え?不自由な手に! 神経を繋ぐ手術って100%成功するのか?」 「わからないわよ。 私は医者じゃないし… 成功することを祈るしかないわ。」 「静香?私にチーフのメールアドレス教えてくれるか?」 「え?知らないの? いつも連絡はどうしていたの?」 「ああ。電話していたよ。メールアドレスは聞きそびれた(笑)」 静香は大好きな弟なのに、何でちゃんと聞かなかったのだろうと思った。 「これがメルアドよ。」 「ありがとな♪ これでチーフとメールで話せるな♪ 病院は電話出来ないから困っていたんだ。」 「もう。加奈さんったら。そんな事なら、早く言ってよ。」 「さてと。それでは加奈さん? そろそろ憲一が帰って来るけど、 今夜はお餅なので、私が教えるわね♪」 「え?お餅?お餅って家の中で作れるのか?」 「え?加奈さんはお餅を作ったことがあるの?」 「ああ。母親の実家に餅をつくけやきの臼があって… もち米を釜戸で蒸して 全部外でやっていたよ。」 「そうね。昔は外で餅は作っていたわね。 思い出すわ。実家で臼で餅をついていた事を。 加奈さん?今は機械で全て出来るのよ? だから、加奈さんでも餅は機械があれば出来てしまうわ♪」 「え?そうなのか?私にも出来るのか?」 「ええ。簡単よ♪」 その時、 「ただいま~♪」 元気良く、憲一が帰って来た。 「あ!加奈お姉ちゃん♪ 来てたの?車無かったよ?」 「ああ。静香の家に置いてきた。 車が駐車場にあった方が泥棒に入られないからって!」 「ああ、確かにそうだね。 みよばあ!僕にもその餅つき機械のやり方教えてね♪」 「はい!それではそろそろ始めるわよ♪」 静香も初めて、餅つき機械のやり方を教えてもらうことになる。 「一晩浸した一升のもち米を入れて、スイッチを入れます。 これだけで、餅は出来てしまいます。」 「え?それだけなのか?なんだ、ボタン方法がわかれば、私にもお餅が作れるのか! 凄いなー!なんだよ。文明の発達って30年も経つと、凄い進化だな!」 クスクスと母親が笑う。 「このもちっ子って言う機械は、丁度静香が生まれた頃に発売になって、凄い人気商品だったのよ? 田舎は昔ながらの臼で餅を食べたけど、加奈さんが子供の頃にはもう、この機械は出来ていたわ♪」 「え?そうなのか? …そうすると、私は静香のお母さんより年をとってるおばあちゃんみたいな発想なんだな?」 ハハハと笑った。 機会音痴で時代錯誤の加奈さんと言うことも判明した瞬間だった。 「それじゃ、この餅つき機械は30年も前のなの?」 憲一がまじまじとみよばあを見て言った。 「やーね。違うわよ。初代もちっ子は壊れちゃたわよ。 5年前に進化したもちっ子を買ったのよ♪ これで、3台目よ。」 「そうなんだ。お母さんと同じ年だったら、古すぎてダメだよね!」 「ちょっと!憲一?意味深な言い回しね!」 「だってさ。尚ちゃんが言ったんだ! 携帯は10年で全く変わるんだよ?ってね。 今の携帯は2じぃなんだって! 10年前はお母さんが言ってたお弁当箱のような携帯が1じぃなんだって! 2000年になると、3じぃになるらしいよ! おじいちゃんが変化したみたいにね。 僕が年取るときは携帯は10じぃになってるかもね♪ だから、携帯は男。 餅つき機械は女。 あ!これは僕の頭の中での話だよ♪ だから、1ばあの餅つき機械は古すぎるから、お母さんは1ばあ♪」 「え?憲一の頭の中ではそんな事になってるの?」 「憲ちゃん?それじゃ、私も1ばあ?」 「それじゃ、おばあちゃんはマイナス3ばあ?」 3人の女性を一挙に敵に回してしまった憲一だった。 3人の顔が怖かった憲一は 「い、今のは冗談だよ! 女の人って、年の事言われるとムカつくの? もう!言わないよ!」 子供ながらに憲一は、女性の前で年の話はしてはいけないと身をもって感じた瞬間だった。
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