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478. 静香の再就職決まる
それから又1週間が過ぎた。
静香もハローワークに通った。
出来ればパートではなく、社員として働きたかった。
飯田と同じに飲食店で働こうとも思ったが、なかなか正社員は無かったし、飯田のやり方もあるだろうから何もわからない方が素直に飯田とお店を手伝えるような気もしたのだ。
だから、静香は全く違う職業を選びたかった。
失業保険も退職金も出る会社。
静香は事務の経験があったので、事務職を選んでいた。
でも、あまり事務員が多い人数が居ない所を探していた。
女ばかりの事務職は派閥があったり、性格の悪い女がいたりするからだ。
静香の目に生命保険の事務員のカードが目に入った。
『事務員1人募集』
今居る事務員と常時2人で事務をやってもらいたい旨だ。
研修3ヶ月。その後正社員。月給制16万プラス交通費。ボーナス年2回。3年勤務から退職金有り。
ちょっと遠かったが、電車で30分の所で最寄駅から徒歩3分だった。
9時から5時まで。残業基本無し。
もし、残業ある時は1時間1300円出してくれる。
問題はもう1人の事務員と仲良くやっていけるかだ。
『その人と合わなかったら研修中に辞めればいいんだものね。電車代の他に月極駐車場代も出してくれるんならここに面接してみようかな?』
静香は早速ハローワークの紹介で、面接に行った。
そこの生命保険のビルは自社ビルで、リフォームしたようで、綺麗だった。
管理職は所長1人だ。所長と面接をした。
簡単な面接だった。こんなもんでいいのかしら?
そう思うほどだった。
「後日連絡しますね。」
あまりにも簡単な面接だったので、多分不採用だと静香は思っていた。
『多分、32才女はいらないのよね?
病気の母親は居るし、単身赴任の夫と小学生の息子がいては、採用しても休みが多かったら、もう1人の事務員に迷惑かかるものね。』
ため息をしながら、次を探さないとと静香は思っていた。
2日後、自宅の固定電話に電話があった。
「○○生命です。岡野静香さんですか?」
ああ。不採用の連絡だ。がっかりしないように覚悟をして結果を聞かないとね。
「採用決定しました。来週から来てください。詳しい説明をさせて頂きます。」
「え?不採用じゃ無いんですか?」
静香は興奮して、訳がわからず変な言葉を発してしまった。
「今居る事務員も待っていますので!
よろしくお願いしますね。」
そう言うと、電話は切れた。
え?ええ!あの面接で私が採用されたの?
もう1人の事務員も待ってる?
チラっと見ただけで話もしていないのに?
あ。お茶をいれてくれて…挨拶だけしたかな?
結構な年配者だったよね?50代後半かな?
歳が離れていたから、良かったのかな?
とにかく、なんでもいいや!採用されたんだ〰️♪
「お母さん!採用決定だよ!○○生命の事務員になれたよ♪
まあ、3ヶ月の研修後に正社員だけどね♪」
「あら。良かったじゃない。
駅まで車で後は電車だから、お母さん、
静香が帰ってくるまで心配しなくて済むわ♪」
「え?今まで心配していたの?」
「静香が事故ってからね。
それから静香が、10分以上運転するところは心配だったのよ。」
「え?そうだったの?」
飯田の店が無くなって良かったと、母親は思っていたのだ。
家から10分かからないところに駅はある。
来週から生命保険の事務員だ。
「よし!頑張るぞ〰️!」
静香は久々の事務で不安はあったが、なんとかなる精神で張り切っていた。
ピロン♪
メールが鳴った。
飯田からだった。
『採用おめでとう!それじゃ、今度の土曜日のお昼にうな重持ち込んでホテルでお祝いしよう。』
そんな内容のメールだった。
『わかった。嬉しい♪』
母親と憲一には白石とランチすると言って、出掛けていった。
飯田が静香の家の近くまで来てくれていた。
静香が大洗までの往復の時間を考えたら、飯田は静香の家の近くまで来た方が時間のロスが無いと思ったのだ。
静香がたまに行くショッピングモールの駐車場に車を停めた。
もう、飯田の車はあった。
静香が飯田の車に乗り込むと
「はい!うな重買ってきたよ。
ホテルでお祝いしよう。採用おめでとう。」
「うん。ありがとう。
来週から会社なの。ちょっと緊張してるの〰️💦」
「ハハハ。俺もさ。
先週ちゃんこ屋に入社した時。
初めて緊張したよ〰️💦結構な社員が居てさ💦」
「え?初めて?
高校卒業して印刷店に入社したときは?
緊張しなかったの?
私のお店に初めて来たときも?」
「ああ。印刷店は社長が親父の知り合いだったし、静香はこの人が社長?って思っただけだから。
今度のちゃんこ屋の社長ってさ。
元相撲取りなんだよ。
結構厳しくて恐かったからさ(笑)
緊張したんだ。」
「私の事は…この人が社長?か~。やっぱりそうだよね。
でも、尚ちゃんがちゃんこ屋の社長恐いなんて…相当強い目力なのね?」
「ハハハ。それがさ。一昨日入社祝いしてくれてさ。
社長が俺の目が恐かったみたいでさ。
なめられてたまるか!って思って自分も半端ない目力を発揮したらしい(笑)」
飯田から、そんな話を聞いて急に可笑しくなった静香は笑ってしまった。
「なんだよ。静香?何でそんなに可笑しいんだよ??」
「う…ん。きっと親方と尚ちゃんは似てるのねって思って。
だって2人は格闘技のスポーツ選手だったから…
お互い負けず嫌いだからその時、土俵の上に真剣にのっていたのね(笑)」
図星を言われて、飯田も笑った。
美味しいうな重を2人で食べて、抱き合って愛し合い、幸せな一時を過ごして帰って行った。
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