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480. 静香の入社の1日
9時。朝礼が始まった。
「今日から皆の書類を預かってくれる事務員が来てくれました。
岡野さん、前に来て、自己紹介お願いします。」
いきなり朝礼初っぱなに?
もう!どきどきなんですけど〰️!
静香はしぶしぶ所長の隣まで歩いていった。
足はガクガクだ。
「お。岡野静香と申します!
1日も早く仕事覚えますので、よろしくお願いします!
どうか川井さん。厳しくない指導をよろしくお願いします!」
ドッと笑え声が聞こえた。
『え?私何か笑うこと言ったの?
あ!本音言っちゃったんだ~!
そこ、言わなくてよかった言葉だった〰️。』
静香は赤面してその場を去るように席に座った。
隣の川井さんの顔が睨んでいるような気がして、川井さんの顔を見ることができなかった静香だった。
朝礼も終わり、フロアは賑やかになった。
「岡野さん?これ本社研修資料よ。忘れないで持って行ってね。
あなたの鞄は小さいわね。
A4サイズが入らないわね!」
『本社研修って聞いてなかったし、資料持って行くのも知らなかったから…紙袋でも途中で買ってから電車に乗るしか無いわね…』
すると、川井が
「はい。これ私の研修用カバン。
持って行きなさい。
資料を別に持って行くと途中で置き忘れたりするからね。
失くすと始末書ものだからね!」
「始末書?それは嫌です。
川井さん。ありがとうございます。
今日だけ貸して貰います。」
静香は川井は思ったほど、怖い人ではなさそうだと安堵した。
そして、自分のバッグを川井のビジネスバッグに移し替えた。
自分のバッグは机の引出しの中にしまった。
「11時の電車に乗ればお昼前には本社に着くから、本社の手前のレストランで、お昼を食べれば1時からの研修は間に合うわよ。
あそこのランチは安くて美味しいわ♪」
川井に本社の住所と行き方を教えてもらって、所長に挨拶をしてフロアを出た。
車に乗り込むと、静香はやっとストレスから解放されたのか、深いため息をした。
「あ~。緊張した〰️!来週からここの営業所に来ればいいのかな?
明日は朝はここに来るのかな?
あ〰️。聞くの忘れたー。
でも、川井さんの鞄返さないといけないから、朝は一旦来ないとね。」
静香はエンジンをかけると、所長が静香の車の所にやってきた。
「岡野さん?車は使わないで!
僕が駅まで載せて行きますから。」
え?いいのかな?私って直ぐに車に乗り込む癖があるから。ここは駅まで近かったわ(笑)
静香は急いで所長の車に乗り込んだ。
「色々教えないといけない事があったからね。朝は営業社員の入金や相談事でてんやわんやだからさ。
岡野さんと話している暇もなくて悪かったね。
本社研修は電話では言ってなかったから、本社の行き先をメモした書類を岡野さんの自宅に封筒で送ったんだよ。
見てくれて無かったのかな?」
え?あ!そうだ。
住所を書いたのは母親の所じゃなかった〰️。1週間に1回はポスト見に行くのに!昨日ポスト見に行くの忘れた〰️。
「すみません。私達家族は今、母親と一緒に住んでまして…
その事を面接の時にお話したのに、住所は前の住所を書いてしまいました。
なので、見ていません。ごめんなさい。」
「なんだ。そうか。なんかさ。岡野さんの頭の上がクレッションマークでいっぱいだったからさ(笑)」
「すみません💦」
「さっきね。川井さんが、私が書いた手紙を岡野さんは読んでいませんね。
所長、駅まで岡野さんを乗せて本社研修の話をしてくださいと川井さんに頼まれたんだよ(笑)」
うわ〰️。今日帰ったら、ポスト見てこないとー。
「それでね。本社研修は明日から朝9時から研修が始まって、夕方は4時で終わるんだ。
だから、明日から今週いっぱいは営業所に寄らなくていいから、遅刻しないように本社に行ってくれるかな?
帰りもそのまま直帰していいからね。」
「わかりました。それでは、明日から今週いっぱいは本社に直行直帰って事です
ね?」
「そうだ。そうしてくれるかな。そうそう。川井さんが貸したバッグは岡野さんにあげるから買わなくていいからって言ってたぞ。
川井さんももう、本社に行くことは無いからだそうだ。川井さんは来春退職なんだ。
だから、岡野さんに早く覚えてもらって、バトンタッチしたいって言ってるんだ。
後、7ヶ月だけどさ。川井さんと仲良くやってくれないかな?
来春は岡野さんが先輩になるんだから、よろしく頼むな。」
え?ええ!7ヶ月で全てを覚えるの。
「先輩になるって?もう一人入社するんですか?」
「ああ。来年2月に一人増える予定なんだ。」
そうなんだ。うわ〰️。こりゃ、川井さんに厳しく指導されないと覚えられないかも〰️!
責任重大〰️!
駅に着くと、所長にお礼を言って、改札口に向かった。
11時40分には本社近くに着いた。
その手前に川井が言っていた美味しいランチがあると言うレストランに静香は入った。
ここは女性が多かった。
日替りレディースランチを頼んだ。
「お待たせしました。」
テーブルに置かれたランチは丸い花柄のトレーに小鉢が沢山回りに囲んであって、真ん中はパスタだった。
「可愛い♪コーヒー込みで1000円は安いかも~♪」
周りを見たら、女性のほとんどが、日替りレディースランチを頼んでいた。
12時半になった。そろそろ本社に行かないと思い、席を立つと静香と一緒にぞろぞろと店を後にした。
え?もしかしたら、この人達って、皆同じ会社の人〰️!
静香が本社の扉の前に立つと、自動ドアが開いた。
その後に女性軍がぞろぞろと入って行った。
『やっぱりそうだ〰️!皆同じ行動って…凄いよな〰️。』
静香は大きな会社の事務員になったことを改めて感じて、武者震いした。
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