484. 母親と川井に感謝

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484. 母親と川井に感謝

山手線の電車に乗ると、仕事帰りの人で混んでいた。 日暮里駅で乗り換えると、常磐線の電車はものすごく混んでいて、ごった煮状態だった。 時間は夕方6時。一番混む時間かも知れない。 『お茶しないで帰ってくれば、混まなかったかな?』 ちょっと、夏目とゆっくりしてしまったことを少し後悔した。 『でも、柏の新人事務員が辞めた理由が聞けて良かったかも』 日暮里駅から柏駅まで、約30分だ。 徒歩10分で営業所に着く。 営業所は明るかった。車も3台あった。 『挨拶してから、帰宅だよね?』 静香は営業所に入って、所長に挨拶した。 「岡野さん?初めての本社研修はどうだった?」 所長が静香の顔をみて言った。 後の2人は営業マンの2人だった。 「はい。とても勉強になりました。 そして、私は来春退職する川井さんの後を継げるか本当に心配になりました💦」 「岡野さん?まだ、1日目だよ?今からだからさ。 大丈夫だから、来週からは川井さんと仲良くやっていって欲しいな。 仲良くやってくれれば、それでいいからね。お願いするよ?」 「あ。はい!わかりました!」 静香はペコリとお辞儀をすると営業所を後にした。 『そうだね。覚える前に川井さんと仲良くしよう。 川井さんが私を選んでくれたんだもの。 きっと、うまく行くわ♪』 そう思うことにして、静香は実家に行く前に自宅に寄った。 ポストに手を入れると、何通か封筒やはがきが入っていた。 「あ!○○生命からやっぱり来ていたわ! え?高校のクラス会?本当に来ちゃた!」 後は、車のディーラーの広告宣伝と携帯電話の明細書だった。 「住所変更しておかないといけないなあ。」 静香はブツブツ独り言を言いながら、実家に向かった。 「ただいま〰️。」 ヘロヘロになりながら、帰宅した。 「お帰りなさい。ずいぶん忙しかったわね。本社に行くこと知らされてなかったの?」 母親が心配していた。 「これ!自宅のポストに入っていたの。 何も知らなくて…もう、恥かいちゃった〰️。」 静香は封筒を開けて母親に見せた。 そこには、午後1時から東京の本社で研修があることだった。 尚、テキストは朝9時までに柏営業所に来ていただければお渡しします。 A4サイズが入るカバンを必ず持参してください。 また、朝礼で自己紹介していただきますので、2分間スピーチでお願いいたします。 その後、徒歩にて柏駅から日暮里駅。山手線に乗り換えて本社の新宿まで。 こちらが本社の地図になります。 本社の隣のレストランでランチを済ませ、12:40までには本社の3階の研修室に行ってください。 担当主幹は藤森さんです。 ここでは、なぜ当社を選んだのか、自分の長所と短所を言われるので2分間スピーチでまとめておいてください。 以上よろしくお願いします。川井より。 「うわ〰️!川井さんが親切に細かく教えてくれてた〰️!」 静香はちゃんとここまで書いてくれた川井さんに申し訳なく思った。 「静香?先週はポストを覗いてなかったの?」 「うん…忘れちゃったの。」 「全く、やらかす母さんだね! また、あだ名が増えたよ~♪」 ケラケラと笑って静香をバカにした憲一だった。 「もう!この手紙を読まなかったせいで…朝から晩まで私は笑われてばかりだわ〰️。」 「仕方ないわよ。手紙がわからなかったんだもの。お母さんのせいね。ごめんなさいね。」 「お母さんのせいじゃないわ。 こっちに住む事になっているのに、住所変更してなかった私が悪いのよ。 今度、変更しておくね。ご飯食べよう♪」 久しぶりに母親の手作りの夕飯を食べた。 ポテトサラダと肉豆腐だった。 母親も食べられる消化の良いもので、私が好きなものを作ってくれたのだ。 私は母親にも川井さんにも、心の中で感謝した。
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