485. やらかす静香

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485. やらかす静香

次の日。 「大変💦寝方しちゃった〰️!」 今日は朝9時までには本社に行かなくては行けない。 只今6:50だ。 「静香?洗濯物も終わって、憲一の朝ごはんも作っておいたわ。 静香?お母さん、起こしたのよ? わかったって聞こえたけど…二度寝したの?」 「わ~い。寝坊助母さんの登場だ〰️(笑)」 憲一が指を指して笑っていた。 「7:15の電車で行かないと〰️。遅刻よ〰️。」 静香は憲一の声も聞こえないほどパニックていた。 「静香。ほらおにぎり作ったから、車の中で食べたら?」 「お母さん。本当にごめんなさい。 明後日の金曜日に試験があって…テキスト勉強していたら、寝るの遅くなったの〰️。」 「言い訳いいから、後はお母さんに任せて忘れ物しないで慌てないで、研修に行ってちょうだいよ!」 「ごめんなさい。いってきま~す!」 静香はおにぎりをバッグに入れると、化粧道具を車の助手席に置いてエンジンをかけた。 信号で止まると化粧をして、信号が変わると化粧途中で運転を始めて、運転中はおにぎりを食べ、また、交差点の信号で止まると化粧を続けた。 ギリギリ、7:15の電車に間に合った。 土浦駅から新宿まで約1時間半かかる。 柏駅からなら、1時間かからないが、今日から3日間は家から直行だから、できれば1本前の電車に乗れると余裕がある。 『明日は6時台の電車に乗れるように早く起きなくちゃ。 お母さんが居なかったら、私は間違いなく遅刻だし、憲一も遅刻だったわ💦 洗濯物も出来なくて、今も頭抱えてずる休みする事を考えていたかも知れない…本当にダメダメ母さんだわね! 今頃、みよばあが居てくれて良かった~。寝坊助母さんの面倒見るのって大変だよね~。 なんて、言ってるわよね!』 そんなことを思いながら、やっと日暮里駅に着いた。 朝のラッシュは相当の物だ。 満員電車に初めて乗った。駅員さんが静香の背中をグイグイ押した。 『うわ〰️。カバンが引っ掛かって体が動かない〰️。このまま乗ってるわけ〰️!』 何駅かそのままになっていたが、池袋駅で停まるとやっとカバンが取れた。 『ギャー!肩ヒモの部分が取れかかってる〰️。川井さんに申し訳ないわ〰️!』 静香は携帯バンドエイドを取り出して、肩ヒモに応急措置をした。 『みっともないけど、仕方ないわ。 帰りにバッグ買わないといけないかな~。』 新宿駅で降りると、小走りに静香は走りだし、本社に向かった。 8:55 ギリギリに本社に着いた。エレベーターで3階のボタンを押すと 「おはよう。岡野さん。」 教育主幹の藤森さんだった。 「お、おはようございます。 すみません💦遅刻ギリギリですね。」 藤森は笑っていた。 「まだ、9時前ですから大丈夫よ。 でも、化粧室に行ってから会議室に入った方がいいかもね。」 クスクス笑っている藤森を見て、 『え?もしかしたら顔に何か付いてるの〰️!』 エレベーターが開くと、静香は化粧室に走り込んだ。 鏡を観てびっくりだ。 「ギャー!口紅が〰️!口裂け女になってる〰️!」 その声にびっくりした夏目がトイレの中から出て来た。 「岡野さん?どうしたの?」 静香は急いで口紅を拭いた。 「もう。こんな姿で何処から歩いて来たのかしら…」 考えただけでも恥ずかしくなった。 鏡に写った夏目が笑っていた。 「おはよう。先に行ってるわ。後2分よ。」 静香は赤面して、用をたして9時ギリギリに席に着いた。 隣の水戸営業所の加藤は涼しい顔で座っていた。 「おはようございます。皆さん揃いましたね。 それでは、テキストを出してこちらを見てください。」 今日はスクリーンの他にホワイトボードが目の前にあった。 静香がカバンに手を入れるとテキストが見当たらない! 『え?ええ〰️!テキストを忘れてきたの〰️!学習帳だけ持ってきたの〰️? あ〰️!昨日テキスト読みながら寝ちゃったからだ〰️! あわてんぼのおっちょこちょいも、ここまで来ると度が過ぎるわ〰️。』 自分が情けなくて、嫌になった。 学習帳だけ机に出して、スクリーンを視ながらメモを取ることにした。 予習はしてきたから、主幹の言っていることはわかる。 昨日は自己紹介と給料の仕組みと経費の算出方法だったから、テキストは開いていないのだ。 テキストは4章に別れていて、1章ごとに問題があった。 多分、今日の最後に問題の答えの解答を書かせられるはずだ。 だから、テスト問題をちゃんと勉強してきた静香だったが、暗記まではしてきた訳ではない… 『主幹にやる気あるの?って言われちゃうよな〰️。』 スクリーンにはテキストと同じに映っていた。 スクリーンが進むにつれて、昨日予習しておいて良かったと思った。 お昼になった。静香は藤森に近づき 「主幹。申し訳ありませんがテキストを家に忘れてきてしまいました。 第1章の最後の問題の所と回答欄をコピーお願いできますでしょうか? 本当にすみません。よろしくお願いいたします。」 絶対テストをやらせられると思ったのだ。 回答用紙の所は、切り取り出来るようになっていたからだ。 多分、提出すると思ったからだった。 「岡野さん?予習してきたの?よくテストするのわかったわね? そうね。テキスト忘れたら、テストには参加出来ないから、私に怒られたわね! 今日の所は素直に謝る岡野さんに免じて回答の所だけコピーしてあげるわ。」 「え?回答欄だけでは…」 「問題はスクリーンに映っているから大丈夫よ。」 「ありがとうございます。」 丁寧にお辞儀をして席に戻った。 お昼はお弁当とペットボトルのお茶が出たから、そのまま席で食べられた。 水戸の加藤は呆れた顔をしていた。 後ろで夏目がクスクス笑っていた。
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