486. 研修もやっと終わって

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486. 研修もやっと終わって

水戸営業所の加藤がお弁当を食べながら 「岡野さん?何時の電車に乗ってきたの?」 と、静香に聞いて来た。 「えっと。7:15の土浦発で。」 「私は鈍行だと遅刻するから、水戸駅まで旦那に送ってもらったのよ。特急で来たのよ? もしかしたら、その後の7:30の特急で来たら私と一緒の電車で余裕で本社に来れたんじゃないの? 交通費は全額あとで出るのよ?」 静香はご飯を詰まりそうになりながら 「え?ホント?」 「やーね。他県からの人は特急も可って書いてあったでしょ?」 と、答えた加藤に、 「あ!もしかしたらそんなことも書いてあったかも〰️!」 川井の手紙だけ読んで、本社の手紙は余り読まなかった静香だった。 「岡野さん。明日からは7:30の特急に乗ってね。 そうすれば慌てなくても8:40には本社に着くわ♪ そうだ。帰りの上野駅で特急の席予約して帰ろうよ。」 「ありがとう。」 後ろでまた、何か見つけて夏目が笑っていた。 「なあに?手提げの所に絆創膏なんてぐるぐる巻きにして?」 静香は振り向いて 「そうなの〰️。これカバンが満員電車で引っ掛かって手提げが切れそうになっちゃったのよ〰️。」 夏目の隣もその回りも皆、クスクス笑い出した。 「それと、岡野さんみたいな人は、口紅は透明のリップ位にしてここに来てから、口紅は塗ったら?」 夏目に言われて、本当にそうしようと心に決めた静香だった。 午後から、またテキストを開いての研修だった。 「それでは、3時になりました。 問題用紙がテキストに挟んであると思います。 切り取ってくれますか?」 藤森は静香に解答用紙のコピーを渡してくれた。 「それでは、テストします。テキストはしまってください。 終わった順から帰って頂いて構いません。 用紙を提出してお帰りくださいね。 尚、テキストを忘れた人もいるので問題はスクリーンに映しておきます! 2回テキストを忘れたら、入社は無かったことにしてもらいます! そんなおっちょこちょいの人は完璧な事務員にはなれないからです! あ。それと、テストが70点以下の人も辞めて頂きますよ! カンニングした人もね! ちゃんと話を聞いているなら、70点以下なんてあり得ませんからね! 全員、完璧主義を求めますので何事にも真剣にお願いします!」 皆はざわめき始た。 「そんなこと聞いていませんでしたよ?」 後の方で声が上がった。 「昨日、金曜日にテストがあるってほのめかしましたよ? 予習してくるのが普通ですよね? 第1章から4章までのテキストです。 切り取り線の入った問題の答案用紙があることは、予習していれば分かったはずです。 これは第1章がちゃんと理解しているかと言う問題です。本当のテストではありません! 本当のテストは金曜日です! 真剣に聞いていればわからないわけないし、皆さんの能力なら70点以上取れるはずです。 今日は20問しかありません。 金曜日のテストは50問です! 1つ1つクリアして行けば、 間違いなくテストは70点以上取れます。 ここの人達は各営業所の店舗長が間違いないと思って選んで来ていただいた皆さんなんですよ? はい!私語は慎んでください!始めてください!」 一斉に静まり返り、テストを始めた。 静香は予習していて良かったと思った。 テスト問題も答え合わせしていたから、間違えないで出来た。 終わって席を立ったのは、静香が一番早かった。 静香は答案用紙を提出すると、エレベーターで1階に降りてロビーで座って、水戸の加藤を待った。 10分後、加藤と夏目がエレベーターから降りてきた。 「岡野さん!早かったわね♪凄いわね。一番早く終わって!」 夏目が見直したみたいな顔をして、静香に言った。 「テスト問題は昨日1度やったから、ホント良かった~。」 「岡野さん。尊敬するわ。私は子供が小さいから家に帰ったら絶対テキスト開けられないから、電車の中で読んだわ。」 「2人とも凄いわね~。私なんか、テキストなんて開かなかったから70点ギリギリかも〰️!」 「夏目さんは冷静沈着で、一流大学行っているんだもの頭脳明晰に決まっているわ。 それに、高級車の事務員だったのだから!」 静香が言うと、加藤が 「凄いじゃない!夏目さん。美人だし、一流大学卒じゃ、非の打ち所がないわね。 私なんて、工場の事務だったから、全く生命保険の事務って違うから、2日目で辞めたくなっているわ…」 「私はおっちょこちょいのレッテル貼られてるんだから、もう私は目を付けられてるから今後完璧なんて出来そうもないから首は直ぐかも知れない…それでも、頑張ろうと努力はしているわ。 何処に就職しても、中途新人は努力しないと残れないから皆で頑張りましょう♪ね?加藤さん!」 2人は頷くと、本社を後にした。 「じゃあね。夏目さん。また、明日ね♪」 2人は夏目と駅の改札口で別れた。 静香と加藤は帰りの特急券を買い、明日の特急の指定席を予約して、上野駅から常磐線の特急で帰って行った。
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