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490. 手巻き寿司をたべながら
「ただいま~。」
いつもの時間に帰宅出来た静香だった。
「お帰りなさ~い。お母さん?テストは出来たの?」
憲一がみよばあとお寿司を作っていた。
「うん。大丈夫だと思う。帰りに仲良くなった同僚とパフェ食べてきたから、結局いつもと同じ電車になっちゃった。」
「パフェ?いいなあ。テスト合格祝いは早すぎるよ!落ちたら首なんでしょ?」
「落ちないように皆で勉強したんだから、大丈夫よ!
パフェは前祝いよ!」
「まあ。お母さんは落ちても受かっても、パフェは食べるからしょうがないね!
なんだのかんだの理由を付けて、食べるに決まってるから(笑)」
「まったくもう!いちいち感にさわる言い方ね!」
そこに、母親が
「まったく、静香は憲一のお友達なんだから(笑)精神年齢がわかるわね!」
「ホントだよね〰️。お母さんは僕より精神年齢は年下かもね〰️♪」
静香は憲一の頭をコツいた。
「痛〰️い!暴力反対!!」
「もう!静香?いい加減にしなさい。
憲一は静香のお寿司を作っているのよ!」
「私のお寿司?」
「そうだよ。今日は手巻き寿司なの。
みよばあが握り寿司は来週のお盆にしようって言ったの。お父さんがいる時ね♪」
「握り寿司は初心者には難しいから、今日は手巻き寿司よ。」
「手巻き寿司って、難しいよね?私は上手く出来ないわ?どうやるの?」
母親がコツを教えてくれた。
米の量と海苔にご飯をのせるときの位置を覚えると、結構上手くいった。
「僕はマスターしたもんね♪」
憲一は得意気になって、海苔巻きを披露した。
「料理好きだけあって、器用ね。
これから、お母さんが残業になって帰りが遅くなっても憲一が夕食作ってくれるから、大丈夫ね♪」
「うん!みよばあとお留守番ならお母さんが居なくても大丈夫だよ!ね!みよばあ♪」
「え?そうなの?それじゃさ。再来週の金曜日クラス会があるのよ。
飲むから、お泊まりしてくるから憲一よろしくね♪」
「え~。また?」
はっ!前は嘘言って出掛けたから…今回は本当の事だけど…クラス会は欠席するつもりでいるから…
「え?また?この間は同窓会。今回はクラス会なの!」
チラリとクラス会のハガキを母親に見せた。
「そう。いいんじゃない?クラス会は楽しいものね。
今は私の体も落ち着いているから、憲一と2人でお留守番してられるわ。
たまには、息抜きにゆっくりして来たら?」
母親はそう言うと、優しい眼差しで静香を見つめた。
ちょっと罪悪感が残った静香だった。
『だって、嘘言わないとお泊まりコースなんて、できやしないわ。』
「お風呂入って来ちゃうね。お母さんと憲一は先に食べてて!
もう、階段の上り降りで疲れちゃってストッキング脱ぎたいの。
足も臭くて〰️。」
Hで汗かいて気持ち悪いとは言えないから、そそくさとバスルームに向かった。
「お母さんの足の裏は納豆巻きの匂いか~(笑)」
「憲一?おばあちゃん。食欲無くなるわよ~。」
今日の手巻き寿司はマグロとサーモンと納豆だ。
憲一のお陰で賑やかな手巻き寿司パーティーになった。
静香もシャワーを浴びただけで、バスルームから出てきて賑やかな手巻き寿司パーティーに参加した。
親子水入らずって、本当に楽しいと思う食卓だった。
静香は母親と賑やかに食事が出来る事に感謝していた。
癌の手術の場合、5年間が大事だからだ。
再発する事が無いように祈るばかりだ。
「やっぱり、私は3つが限界ね。
憲一、おばあちゃんの分食べる?」
「みよばあ?お腹いっぱいなの?うん。僕はまだまだ入るよ♪この頃身長が伸びるの早いんだ♪」
憲一をこの頃、まじまじと見たことがなかった静香は、
「本当!いつの間に大きくなったわね。」
「お母さん?僕ね。靴を買って欲しいんだ。靴がキツキツなんだよ?」
「そう?わかったわ。明日空手道場から帰ったら、靴を買いに行きましょう!」
「静香。私も靴を買いたいわ。」
「え?お母さんも?いいわよ。皆で行きましょう♪」
「この間、病院に行ったとき床につまずいて…先生がかかとがしっかりした靴を履くことをお薦めしますって言われてね。
転ぶと、一生もんになりますよ!って、言うのよ。」
「一生もの?」
「静香もそのうちわかるわ。
この年になるとね。老人になって歩けなくなるのは、若い頃転んでそのままにしてしまったり、事故で怪我したりすると、自分は忘れていても体は覚えていて痛かった所が出て来るって言うのよ。
それとプラス、年取ってから転ぶと、そこから足が治らなくて一生ものになるのよ。」
「ええ!!って事は私は車ごとぶつけて、全身打撲傷だったから年取ったら体が動かなくなるの〰️!」
「静香の場合は放っておいた訳じゃ無いから、大丈夫だと思うけど…ちゃんとリバビリもしたしね。
でも、体が歪んでいたら、年取ってから足腰やられるかもね。」
「うわ〰️。整体に通うわ!歪み治してもらおうっと!」
休日は忙しくなった静香だった。
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