278人が本棚に入れています
本棚に追加
/675ページ
491. 今日から柏営業所
今日から柏営業所に勤務だ。
テストの発表の日でもある。
「お母さん?今日はテストの結果発表の日だね。
首を切られるか繋がるかの日だね。」
「もう!大丈夫よ!落ちるわけ無いでしょ!予習してたんだから!」
「でも、お母さんはおっちょこちょいだからテキスト忘れて行ったじゃない?
だから、わからないよ~(笑)」
「全くもう!バカにして!
憲一?早く食べないと遅刻するわよ!」
「え?お母さん?なに言ってるの?
今は夏休みだよ?」
カレンダーを見ながら静香が
「え?あ!そうだ!だけど先週まで学校行ってたじゃない?」
「みよばあ?ほらね?ボケ母さんの相手するのも楽じゃ無いよね?
7月いっぱいは午前中"学びの会"があったの!
8月入っての先週からは空手道場の"朝の会"
今週はどっちも無いからやっと僕は夏休み入った気分なの!母親なのに…
そんな事も知らないの?」
静香は自分の事だけで精一杯で、夏休みになっていたのも忘れていた。
「まったく!今週はもう、お盆だよ?
ボケ母さんの相手するお父さんも帰ってくるなり、大変だよね!」
もう、静香は反発する気持ちも無くなっていた。
「みよばあが居なかったら、憲一のお昼も作らず何もしない"グータラ母さん"だわね💦」
母親が笑って
「私が丈夫な内は任せてほしいわ。
いつまでも病人扱いされても寿命が縮まるだけだから。
今度、カレンダーに憲一の行動も書いておくわね♪」
「お母さん…ありがとう。それじゃ、今日も1日憲一をお願いします。」
とぼとぼと静香は玄関に向かった。
そこに憲一が
「お母さんの役目は働き頭だからね!
昨日は靴をありがとう♪」
憲一の言葉に気を良くした静香は
「行ってきま~す!」
笑顔で玄関を出て、車に乗り込んだ。
時刻は7:30
「え?あ〰️!今日は柏だから8時過ぎに出ても間に合ったんだ〰️。」
静香は戻るのもカッコ悪くて、そのまま駅に向かった。
まったく私は会社勤めが慣れてないから、何もかも調子狂うわよね💦
渋滞の国道を駅に向かってノロノロ運転だ。
「早く出て良かったかな?いつもより渋滞凄いわ〰️。」
途中で玉突き事故があったのを横目にしながら、静香の車は通りすぎた。
結局、同じ時間の電車に乗ることになった。
駅前でコーヒーでも飲もうかと思っていた余裕も渋滞の為に、何もかもギリギリだ。
会社に着くと、所長が笑顔で静香を迎えてくれた。
「岡野さん!凄いじゃないか!テスト満点だよ♪所長として、鼻が高いよ♪」
「これで安心して、岡野さんにバトンタッチできるわね♪」
川井も笑顔で静香に話しかけてくれた。
「あ。ありがとうございます。」
静香と満点と聞いて嬉しかった。
「あ。あの。他の事務員の人は受かったのですか?」
「え?なんの事?テストはしたけど、受かるとか受からないとかじゃないよ?」
「え?だって70点以下の人は首って聞いて…」
「あ~!それは主幹ね?
入社したのに70点以下の人は首なんてしないわよ?
それじゃ、こっちが契約違反になるわ(笑)
それは、主幹の脅しよ!いつもあの人そうなのよね。
でも、ある意味テストで0点取ったら、さすがに所長が面接して合格させた事が間違いと取られて、責任は全て所長に行くわね(笑)」
「そんな人は居ないよ〰️。まあ、岡野さんを入れたのは間違い無かったことで今度、歓迎会でもしようかな♪」
「え?いいですよ~。テスト出来ても私のおっちょこちょいが直らないと皆さんに迷惑かかるから…」
「それじゃ、所長?歓迎会は今月末でいいのでは?岡野さんも皆さんと少し仲良くならないとはしゃげませんよね?」
「そうだな。お給料も25日だから、それ以降にしようか。」
そんなことを言いながら、所長は営業社員の方に近付いて元気に挨拶をしていた。
「所長ご機嫌ね。岡野さんは性格も成績もいいし、私としても良かったわ♪」
静香は川井の隣に座って、やはり主幹の言ったことは脅しとわかりホッとしていた。
「ここはね。生命保険会社だから、一人一人のテストの成績もお給料も全てわかるわ。
まったく、個人情報の漏洩もへったくれもないからね!
ほら、あなた達が受けたテストの点数までもわかるわよ♪」
「え?ええ!そうなんですか?」
どれどれと川井のパソコンを覗き込んだ。
「本当だ!でもほとんどの人が満点じゃないですか!
なんだ。80点以下の人なんて一人も居ませんね。
これで70点いかなかったら、恥ずかしいですよ〰。」
「本当よね~。私もこのパソコンにはうんざりよ〰️。
ほら見て?退社した人の名前も出てるわよ。
全国版で出ちゃうから、歳がバレて嫌よね〰️。仕方ないけどさ-。」
大きな会社の裏事情を垣間見た静香だった。
最初のコメントを投稿しよう!