278人が本棚に入れています
本棚に追加
/675ページ
499. お盆明けの仕事は!
「みよばあ〜。ただいま〰♪」
結局、帰宅時間は夕方になった。
ちびまる子ちゃんのオープニングソングが始まっていた。
「コレコレ!ちびまる子ちゃんのクッキーのお土産だよ〜。
ハイ。みよばあ。お留守番ご苦労様でした。」
「あらあら、ありがとう。静香?さっき宅急便が届いていたわよ?
そこにあるけど…ディズニーランドからじゃ無いの?」
「そうなの〜。もう、お土産沢山買ったから、フジテレビで買わなくていいんじゃないの?って憲一に言ったんだけど、見るもの見るもの欲しくなって…」
「だって!あそこにしか売って無いんだよ?
もう、二度と買えないかもしれないんだよ?
孫悟空のペンとかペンケースとかタオルハンカチとか!
それと、目覚ましキャラクターとか!欲しいの沢山あるんだもん。」
「だからね。お母さんからもらったお小遣い全部使って来ちゃったのよ!」
母親は笑って
「いいのよ?使うために渡したんだもの。ね♪憲一?楽しかった?」
「うん!楽しかったよ〰♪」
その後、みよばあとお風呂に一緒に入って、長湯していた。
ディズニーランドの話からホテルの話。そして、フジテレビの話だから尽きることはないようだ。
お風呂にのぼせる寸前で二人でお風呂から出て来た。
「二人共大丈夫?
1時間近く入っていたわよ?憲一?茹でダコじゃない!
みよばあが貧血起こして倒れちゃうわよ?」
「私は大丈夫よ。半身浴していたから。
憲一はのぼせというより、しゃべり過ぎて熱弁して興奮していたからじゃないかしら(笑)」
「全く!誰に似たのかしら?話始めたら止まらない性格!」
母親が急に笑いだした。
「多分、よしさんね。昨日寝るまで一人でしゃべっていたから(笑)
あんなに話す人だったなんて…
一緒に寝てみないとわからないものね(笑)」
「やっぱり?そうよね。なんてったって誕生日も近いから、機関銃みたいに喋るから、似た者同士かもね!」
「よしさんも憲一とは馬が合うって言ってたわ。」
「お母さん?僕、そんなに機関銃のようにしゃべるのかな?
そしたら、よしばあと喋ったら機関銃みたいにうるさくて、二人で何を話しているかわからなくなるよね?
ちゃんと、よしばあとは話は成立してるからね!
今の言葉は訂正してくれる?」
全く、可愛くない憲一が出て来たわね!
「はい!訂正するわ!
よしばあの場合は為になる話や昔の話を事細かく話す人だけど、憲一の場合は、あー言えば上祐だから質が違うわ。
すみませんね。はい。訂正しました!」
その後、憲一がギャーギャーと機関銃のように騒ぎたてていた。
が、静香は右から左に聞き流していた。
「あ〜。明日は一日、ゆっくり寝ていよう。疲れた〜。お風呂に入って来よう。」
憲一は喋り疲れたのか、水を飲むと部屋に行ってしまった。
さあ!
お盆休みは終わり、とうとう月曜日がやってきてしまった。
いつもより、早く静香は起きて、いつもより1つ前の電車に乗った。
「おはようございます。」
もう、川井は来ていた。
「岡野さん。おはよう。さあ。今日は覚悟してやってきたのね?」
『うわ〰。別に覚悟したわけじゃないけど…
遅刻なんてしたら、川井さんには睨まれると思ったから、頑張って早く来ただけよ〰。
なんだかわからないけど、そんなに戦争なのかしら?』
ここの営業所の営業マンは成績優秀の人間が3人いると言う。
年収は所長より高いらしく、営業マン同士が切磋琢磨して成績を競い合っているとは聞いている。
ここに来て、たった2日しか事務をしていないから、盆明けの今日がどのようなものか知らないが、静香は緊張しまくっていた。
「川井さん。岡野さん。今日は覚悟してくださいね!」
所長まで、脅かして私達の前を通り過ぎた。
9時になった。朝礼が始まった。
9時半になると、ミーティングも終わり、盆休みをしなかった3人がツカツカと静香の方を書類を持ってやって来た。
「おはようございます。川井さん。よろしくおねがいしますね。」
年配の女性の一人が契約書をクリアファイルに入れて、ファイルを10枚も机の上に置いていった。
「岡野さん。よろしくおねがいします。」
もう一人の営業マンもクリアファイル12枚も持ってきた。
「お二人さん。おはようございます。よろしくおねがいします。」
そう言って、クールに5枚のファイルを置いて行く人は、キャリアの営業マンだった。
その後、ポツポツと1枚や、2枚のクリアファイルを静香達の前に置いていく。
「あ。岡野さんはわからないかもな。
9月15日締切で上半期の成績順が決まるんだ。皆、必死なんだよ。
成績が足らないと解雇なんだよ。
だから、お盆休みは取っていられないっていうのが本音なんだ。
有給休暇は取るけど、ほとんどの人が仕事をしているんだよ。」
静香にそう言って、自分の席に戻って行った営業マンは、成績が足らなくて悩んでいた1人だと後から聞いた。
「これが決まれば、小松崎さんはクリアね。
岡野さん。契約がスムーズに早く決めるにはお客様のお仕事内容と告知書に何も問題無い場合は、全てこちら側の責任になるのよ。
今日はこの契約書38件は全て完璧に終わせて、今日の夕方までに送らなければいけないのよ!
だから、今からは私達事務の仕事にかかっているの。
一枚でも何か1つ抜けてしまったら、後が大変なのよ!
始めるわよ!教えたこと思い出してチェックしていってね!!」
川井にそう言われて、静香は半分のファイルを渡された。
「はい!責任重大ってことですね!」
二人はせっせと書類に目を通し始めた。
静香には気が遠くなるほど、大変な作業だった。
これが、盆明けの地獄の仕事なのだと実感した静香だった。
最初のコメントを投稿しよう!