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507. え?安曇野牛乳?
「失礼します。
お食事と生ビールをお持ちしました。」
仲居が、お膳を運んで来た。
続いて、女将も運んで入って来た。
テーブルにお料理を置くと、女将が三指をついて挨拶をした。
「女将でございます。
今日は、私共の旅館を選んでいただいてありがとうございます。
お酒の追加のご注文はそちらの電話でコールしてくださいませ。
当旅館の食事は焼き立て、揚げたてをモットーにしていますので、このあと揚げ物をお持ち致しますので、こちらの仲居が担当ですので、よろしくおねがいします」
「仲居の高橋です。よろしくおねがいします。」
女将が帰ると、中居が非常口とか、大浴場の場所とか、朝食の場所とか教えてくれた。
飯田は聞きながら生ビールを一気に飲んでしまった。
「生ビールあと2本追加。」
飯田は空のジョッキーを仲居に渡すと
「かしこまりました。」
そう言って、部屋を出た。
「尚ちゃん?2本って…私はまだ飲んでないわよ?」
「ああ。大丈夫。俺が飲むから(笑)
その後は面倒だから、焼酎を一本持ってきてもらおうな。
静香も飲むだろ?」
飯田は呑む気満々だ。
「温泉にも入ったし、後は飲んで寝るだけだからな。
今夜は飲むぞ〜。あ!でも、寝る前に一発だったけな(笑)」
若いって凄いと静香は思った。
「尚ちゃん?飲みすぎて二日酔いにならないでね?
私、尚ちゃんの車、大きいから運転できないよ?」
「大丈夫だよ。二日酔いなんてならないから!
俺が酒が強いの知ってるだろ?」
そうだった。でも、いつもとペースが違うから…
旦那だったら、そのうち飲みすぎて寝てしまう。
そして、次の日は私が運転手になる。
飯田がトコトン飲んだのを見る機会は、今日が初めてだと思う。
ここの料理は美味しかった。
天ぷらもすき焼きも食が進む。
最後のシメは鰻のひつまぶしだった。
「静香の好きな鰻を頼んだんだ♪
蕎麦は明日食べるからさ。今夜は精を出さないとな(笑)」
お腹いっぱいだったけど、鰻に目がない静香はゆっくり食べた。
「尚ちゃん?まだ飲むの?焼酎一本空けちゃったよ?」
飯田は冷蔵庫から焼酎とコーラを取り出した。
「俺のシメはこれ。炭酸が好きだから
まず焼酎飲んで、コーラを後で飲む。
本当はドクターペッパーだったら言うことなかったんだけどさ(笑)」
「尚ちゃんって、お酒も飲んだら凄いけど、甘党なのよね?」
「うん。二刀流♪」
あんなに飲んでも、呂律が回らないほどではない。
静香より、遅くひつまぶしを食べ始めたのに、食べ終わったのは飯田の方が早かった。
それから直ぐに、仲居が入ってきて、テーブルの上を片付けてくれた。
「デザートは当店自慢のプリンですが、召し上がりますか?」
飯田はプリンと聞いて、目が大きく開いた。
「プリン?はい!頂きます!」
プリンの単語に酔がさめた勢いだ。
「長野の安曇野の牛乳で作ったプリンは味が濃くてまろやかで美味しいんですよ。
お客様がステーキレストランでお買い求めたプリンと同じ位美味しいです。
あ。勝手なことをして申し訳ありませんでしたが、お客様のプリンのお土産は冷蔵庫の中に入れておきましたから、明日は忘れずにお持ち帰りくださいね。」
なんて気が付く仲居だろうと静香は思った。
「ありがとうございます。あの。安曇野の牛乳って酪農は沢山長野にはあるのですか?」
静香は旦那の妹を思い出したので、聞いてみた。
「いえ。そんなに多くはないですよ。安曇野の牛乳はブランドです。
ここに卸しに来ている酪農家は、昔ここの仲居をしていたんです。
高い牛乳を卸値価格でやってくれて…飯野さんにはお世話になっているんですよ。」
静香はその名前に固まった。葵ちゃんだ!
何も知らない飯田が
「安曇野牛乳ってそんなに濃くて美味しいんだ。」
「はい。明日はバイキングの朝食ですから、安曇野牛乳は浴びるほど飲めますよ(笑)」
そう言って、仲居は部屋を出た。
「俺。牛乳も大好きなんだ。楽しみだなあ。プリン早く来ないかな〜。レストランと味比べだ〜。」
飯田はワクワクした目でプリンを待っていた。
直ぐにプリンはやってきた。
「お!プリンに生クリームが乗っているんだ〜。
これはこれで美味しいな♪」
満足そうに飯田はプリンを口に運んでいた。
仲居が帰る前にペロッとたいらげて、プリンの容れ物を返していた。
「あ。奥様。ゆっくり召し上がりください。
テーブルの上に容器は置いてください。
明日、チェックアウトしてから片付けますので、ごゆっくりどうぞ。」
そう言うと、襖を閉めた。
「静香♪もう来ないから、ゆっくりエッチしてねってさ♪」
静香はプリンを食べながら
「もう。そんなこと仲居さんは言ってないでしょう?」
「俺達は新婚さんだよ?そんなこと言わなくてもわかるよな?」
静香がプリンを食べ終わると、飯田は3ラウンドを開始するのに、静香の手を引いてベッドに向かった。
大好きなプリンと静香を堪能した飯田はいつの間にか夢心地で眠りについた。
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