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515. 月曜日の朝
今日は月曜日。
また、忙しい仕事の日々が始まった。
飯田との外泊隠密行動は、危機一髪だったが、誰にも知られずときを得た。
土浦駅に向かっている静香は、ふとロータリーにある20分だけ待機出来る駐車スペースを見渡した。
『あ。確かにここからだと私が飯田の車に乗り込むのが良く見えるわ。
今度待ちあわせするときは、別の場所にすることにしよう。』
静香は自分の行動の甘さに反省した。
電車に乗り込むと、メールのバイブが上着のポケットから振動した。
『あ。尚ちゃんだわ♪』
『おはよう。お泊りデートが忘れられない。何度も静香としたのに、もう会いたくて堪らないよ』
『尚ちゃんったら。朝から濃厚なメールね♥
今、電車の中なの』
『混んでいるの?』
『混んでるわ。ドアの所に立ってるの』
『立ってるの?うわ〜。卑猥だ』
『俺は今、布団の中。静香を思い出して勃起してる』
『尚ちゃん?尚ちゃんの方が卑猥よ?』
『とにかく、頭の中は静香でいっぱいなんだ。スケベなこと言ってほしい』
静香は卑猥な飯田に呆れたが、同時に自分の下着が濡れたのを感じた。
『もう。こんなところで!
パンティが濡れちゃたわ〜』
素直に理性の思考と真逆の本能に近い自分の体の卑猥さを表現した。
『静香のスケベー!あ。いく〰!』
3分後
『最高だったよ。静香のパンティ。
ホントにこんなに濡れて!スケベな静香だ』
え?もしかして
『私のパンティ?今、手にしてる?』
『もちろん。アンパンしてたら本物の静香に卑猥な話をしたくなったんだ。』
『もう!やっぱり返して!』
『いやだよ!これは俺の宝物だから!
じゃあな!仕事頑張れよ♪
俺はもう少し余韻に浸かっているよ。
愛してるよ。静香』
それを言われるとなんにも言えない静香だった。
『尚ちゃん。愛してるわ』
多分、私が電車に乗っている頃を見計らってメールしてきたのよね?
どんよりとした心が飯田のメールで晴れやかな気分になった静香だった。
「次は柏〜。柏〜。」
車内のアナウンスが聞こえた。
さあ、仕事モードに戻って頑張らないと!
電車から降りると、静香は小走りに会社に向かった。
2階のドアを開けると、目の前に川井がいた。
「おはようございます!金曜日はお休み頂きましてありがとうございました。」
「いーえ。ゆっくり休めた?」
「はい。」
静香はそれ以上は口にしなかった。
軽井沢のお土産も買って来なかったし、東京のお土産も買って来なかった。
嘘の上塗りも話たくなかったのだ。
「私は1日会社でゆっくり出来なかっわ〜。まさかの残業よ!」
川井の一言で、静香は急に申し訳なくなった気持ちになった。
「え?お客様が来たとか?電話が沢山あったとかですか?」
「違うのよ。進発式に出ないで仕事をしていた営業マンが一人いたのよ。
その人は午後の3時半過ぎに契約書を持参して、それから事務処理したから宅配便が来る5時をずらしてもらって残業よ!
1件じゃなかったの。3件もあったのよ!」
「え?進発式出なくても、怒られないんですか?」
「お客様からクロージングの日時を指定されたときは、そっちを優先するの。
ここはお客様あっての会社だから。」
「そうなんですね?大変でした。
その方って?」
「ギリギリの数字で残れた人よ。
スタートダッシュが順調で喜ばしいけどね。
でも、8月いっぱいに契約が決まればギリギリセーフから抜け出せるわね。
9月のお給料は半端なくいいんじゃない?」
あ。ギリギリセーフの人って、お盆休みを取らないで頑張った小松崎さんだ。
コツコツ頑張ってる人って、やっぱり後から契約が出て来るって所長も言ってたけど、本当なんだわ。
パソコンを開いて、静香も見られる契約内容に静香の目は点になった。
え?契約の方の住所が軽井沢?
え?やだ!私達のお泊りコースの住所の近くじゃないの?
まさか!まさか!あのステーキハウスレストランの離れで商談していたのって小松崎さんじゃないわよね?
静香の嫌な予感が当たってしまう事になって行くのである。
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