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524. 憲一の発明工夫の作品
静香はスーパーの駐車場で車を止めると、レシピ本を開いた。
『メニエール病に効果が期待できるビ タミンB群は、カキやレバー、アサリ、サンマなどに多く含まれます。
ビタミン は、インスタント食品の摂りすぎや、ストレス、過度のアルコール摂取、ダイエッ トなどにより不足する場合があるので、注意が必要です。』
ビタミンB群か~
カキはお母さんは専門店じゃないと生は口にしないからな~。
カキフライは油っぽいし…ニラレバは良く食べてるし…
やっぱり、サンマの醤油煮とアサリの味噌汁かな?
うん!そうしよう。
ペラペラとレシピ本をめくって、静香は結局いつものおかずになった(笑)
『結局、主治医から聞いてるおかずになるのよね?
先生はやっぱり知ってたのかな?
メニエールって…』
貧血にいいレシピのページも開いてみた。
貧血予防に良い食事のポイント 3食バランス良く、規則正しく食べましょう。
野菜、果物、芋類
かき、しじみ、あさり、鮭 ...
緑黄色野菜 ...
魚介類やレバー、大豆 ...
肉、魚、卵、乳製品 ...
緑茶、紅茶、ウーロン茶、コ-ヒ- ...
玄米、おから等
『あ。なんだ。重複しているように、同じものが多いんだ!』
結局、主治医が教えてくれたのは間違いなかったと静香は確信した。
「ただいま~。」
静香が玄関を開けると、憲一の賑やかな声が聞こえてきた。
「お母さん。お帰りなさ~い。発明工夫の作品が出来たよ~。」
ソファーに座って作品をすでに使って、みよばあに見せていた。
「え?なに?それ?」
「お母さんがいつもコーヒーを一人用のドリップコーヒーで飲んでたでしょ?」
「うん。みよばあはコーヒー飲まないから、お父さんが居ないときはこのドリップコーヒーでいいものね!
だけど、何でそのドリップコーヒーをコーヒーカップの上に置くもの作ったの?」
「お母さんがよく、ドリップコーヒーはお湯を注げばできちゃうけど、後始末が悪いわよね~。って言ってたでしょ?」
「そうね。お湯を切るのに指では熱いし、そのままゴミ箱に入れるのにはポタポタ落ちて床が汚れるし、だからテーブルのティッシュでくるめて捨てるのが日課ね。
あ!だから、ドリップコーヒーをカップの中に入れないようにしたわけか!」
静香はその発明工夫の作品を良く見てみた。
プラスチックの円形2つをカッターで中をくりぬいた物を、割り箸で支えている簡単な物だった。
「この円形は何で作ったの?」
「うん。僕が好きなポテトチップの筒型のふただよ!
ほら、これ!」
テーブルの上に置いてあるプリングルスの筒型のポテトチップを指で指した。
「あ。この筒の上のプラスチックの蓋を2つ使ったんだ。
カッターでまあるく切り抜いたの?」
「うん!そうしたらね。お母さんのカップの大きさにちょうど合って、ほら!カップがはめられるの!」
「確かに!これだったらカップに浸る事もなくドリップコーヒーをお湯で注げるわね!」
「ホント!憲一は天才ね♪」
みよばあが憲一を褒めちぎっていた。
ポテトチップのプリングルスの蓋2つと割り箸だけで、発明工夫ができてしまうなんて、手抜きもいいところだが、静香にとっては画期的な品物だった。
「お母さんのカップとドロップコーヒーも学校に待って行っていい?
じゃないと何だかわからないでしょ?」
「そうね。いいわ。違うカップ使うから。」
憲一は嬉しそうにカップも手提げ袋の中に入れた。
「よーし!これで夏休みの宿題は完璧に終わった〰️!」
憲一は部屋中、スキップをしながら喜びを表していた。
みよばあは笑顔で憲一を見つめていた。
『まあ、夜まで宿題が終わらないで泣き叫ぶ憲一の姿を見ないだけでも成長したって思うしかないかな(笑)』
静香は胸を撫で下ろして憲一の姿を見ていた。
その日の夕食は、憲一の話で賑やかな食事になったことは言うまでもない。
余談だけど、プリングルスのポテトチップの蓋はなぜ付いているのか?
(ちゃんと紙の蓋も付いているのにだ)
と、本社に問い合わせた人がいたらしい。
プリングルスの本社の答えはこうだった。
『食べ終わった後に、違う事で使うお客様の為にです』
と言うことだった。
なるほど、とてもクールな返答だ。
確かに、食べきれない時の為にもあるだろうけど、食べ終わって捨てないで他の使い道を考える人も多いかも知れない。
長い方の筒の場合はスパゲッティ入れにもなるらしい。
短い方の筒の場合は、色んな小物入れにもなるだろう。
それより、私が驚いたのはメルカリで空のプリングルスの容器が売っていることだ!
筒は筒で!蓋は蓋でだ!
それが結構売れているのだから、使う用途があるのだろうと私は思う。
まあ、ラップの芯もトイレットペーパーの芯も売れているのだから、何の不思議も無いけれどね。
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