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531. 待ちに待った土曜日
そして、土曜日の朝が来た。
朝早く、憲一は起き出して釣りの用意をしていた。
「お母さん!早く起きてよ!全く、いつまで寝てるの?」
静香の部屋の襖を開けて、憲一は静香を起こした。
「え?憲一?5時前よ?何で釣りの用意してるのよ?」
「え?お母さんは何も知らないの?
昨日、どうせ来るならルイージのクルーズ借りて釣りしようって事になったんだよ?
6時に来れる?ってメールがさっきあったんだよ!」
「え?そうなの?お母さんにはメール無いわよ?」
「お母さんはお寝坊だから、僕にメールくれたの!
食事は尚ちゃんが用意するから、お弁当は作らなくていいって!
釣りの支度だけしておいでって言ってたよ。
ほら!早く準備してよ!
寝坊助母さん!」
憲一の言葉にカチンときたが、怒ってる場合ではないのでさっさと着替えをして、用意した。
「静香?事故だけはしないでよ?
憲一もいるんだから。お母さん心配だわ。」
母親が憲一の声で起き出して、あたふたしていた。
「大丈夫よ。
土曜日の朝早くはどこも混んで無いし、スピードは出さないから心配しないでよ。
お魚いっぱい釣って持って帰るから。
クーラーボックスだけ待って行きましょ。」
「みよばあ!お留守番お願いね。お魚釣って来るからね♪」
「期待して待ってるわ♪」
母親に見送られて、2人は大洗に向かった。
「久しぶりだね〰️。なんか、1年間は釣りしてない気がするよ。」
「そうね。そうだわね。なんだかんだあったから1年ぶりに海が眺めるわね。」
「僕はワクワクしてるよ。
ちゃんこ食べにおいでって初めは言ってたから。
尚ちゃんが休みだなんて思わなかったよ♪
ルイージにも会えるなんて嬉しいなあ。」
親子でルンルンな気分で大洗に着いた。
いつものクルーズが停まっていた。
2人?いや、4人の人影が見えた。
「あ〰️!マリオと大ちゃんだ〰️!!」
いつものメンバーが揃った日だった。
本当に1年ぶりの再会だ。
「よう!ケン坊!元気にしてたか?」
「マリオ!ルイージ!久しぶり〰️!大ちゃんも久しぶり〰️♪尚ちゃん〰️!今日はありがとう!」
駐車場に止める前に憲一だけ、車から降りていった。
「やあ。社長。久しぶりだね♪俺が駐車場を止めるところを教えるよ。
俺の隣が空いてるからさ。」
飯田はそういって、静香の車の助手席に乗り込んだ。
「一週間ぶりだな。なんか、憲一からメールがあってさ。
それをマリオ達に電話で話したら、久しぶりに皆で釣りをしようかって言うことになったんだ。
あのクルーズが無くなるんだ。
新しいクルーズを守が買ったんだ。」
「え?クルーズが?凄いわね〰️。おニューになるの?」
「うん。ただ、今より小さいよ。今のは10人乗りだけど、今度のは4人乗りみたいだ。
守もプロだから、あまり大きいと燃料がバカにならないんだってさ。
まあ、乗っても俺位だろ?だから、今日は馴染みのクルーズさよなら会なんだよ。
だから、食料はたらふく乗せてある。
本当は一週間前までは、そんなことも考えてなかったんだけどさ。
憲一のメールでそれなら、皆で集まって釣りをしながらさよなら会やろうって事になってさ。
静香にはサプライズしたかったから黙っていたんだ。」
「そうなんだ。憲一がお母さんは何も知らないの?
みたいに言って、僕だけが知ってるからって得意気に話していたわよ(笑)」
「本当はさ。今日は静香と2人っきりでデートしたかったんだけどさ。
たまには憲一にもサービスしないと、いざって時に味方になってくれないだろ?
だからさ。今週の平日、ズル休みするからさ。夕方会えないかな?
俺、静香の顔見たら、勃起してきちゃったよ(笑)
再来週まで会えないなんて我慢できないよ。」
「もう!尚ちゃんったら!わかったわ。
月曜日にメールするね。」
「おう。」
そんな話をしながら、車を飯田の隣に停めると、荷物を持ってクルーザーに向かって歩いていった。
皆は憲一を乗せてクルーザーの中に入っていた。
何やら騒がしがった。
「ホント〰️!!賞金があるの〰️?僕はハンデもらえるの〰️?」
憲一が大きな声ではしゃいでいた。
「全く、なんて声を出すの?どうしたの?」
静香が急いで憲一の隣に行った。
「あのね。マリオがね。今日でこのクルーザーとお別れだからって、賞金出してくれるんだって。
それもね。2人なんだよ。
大きさを競う大会と魚の数の多さを競う大会を同時にやって、優勝を決めるんだって。
僕はハンデもらえるんだって。」
「え?ハンデ?」
「うん!マリオの歳から僕の歳を引いた数がハンデ!だから、大きさなら17cm。数なら17匹あるんだって!
お母さんは大人だから無いって!」
「あ。そう。」
憲一は目を耀かせながら喜んでいた。
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