534. カジキ対決?

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534. カジキ対決?

「カジキか?カジキなら糸が切れて逃げてしまうな。」 「尚!小さいカジキだ! それでも全長1メートルはあるんじゃないかな。 長期戦だな。ゆっくりリールを巻きながら休み休み体力消耗させれば、糸が切れないで釣れるかも知れないぞ。」 守の指導通りにカジキを引き寄せた。 2回目のカジキに静香も興奮していた。 1年前は糸が切れて逃がしてしまったから、今度こそは捕えてみたかったのだ。 「お母さん。カジキ初めて釣ったの? 僕の時より小さいかな? お母さんにしては、上敵だね♪」 「うわ~。憲一は全く上から目線ね!」 「ハハハ。社長?憲一は2回目の釣りで100キロもあるカジキ釣ったのだから、お母さんより上だから、仕方ないよ! 1メートル位では、20キロ位だろうけど、売れれば5000円位にはなるはずだ。 多分、長さでは今回は社長が優勝かもしれないな。 悔しいけど、カジキより大物は釣れない気がするよ。」 「尚ちゃんは大きな鯛を釣ったことあるよね! 重さは50キロ位あったよね? 今回は長さだから、カジキは口が長がヒョロイからカジキより長い魚はないかもね!」 憲一が飯田と話している後ろから、守の声が聞こえて来た。 「やった〰️!!カジキがかかった〰️! 釣竿が違うからこれは糸が切れるかもな〰️。 1年前にケン坊が捕ったカジキ位あるかもな〰️!!」 憲一が守ことルイージに駆け寄った。 「ルイージ!僕の竿でカジキが捕れたんだから時間との勝負だよ! 頑張れルイージ!」 憲一の応援の声が静香の耳にも聞こえた。 「悔しいけどこの勝負、守さんの勝ちね。」 「それはどうだろう? 釣ってみないとわからないぞ。 憲一が100キロのカジキが釣れた時の竿は、守が作った特製の釣竿だったから、最後まで折れずに釣れたんだ。 糸も切れない頑丈な糸を使っていたからな。 今回はマリオのいかさまを見ていたから、純粋の買った釣竿だから、100キロのカジキが釣れることは無いよ。 多分、糸が切れてしまう。 この釣竿はせいぜい20キロの大きさがギリギリ釣れる竿なんだよ。 守も悔しいだろうな。守の作った特製の釣竿なら釣れたかも知れないのにな。 でも、糸を切らないと釣竿はブランドの製品だからカジキより、釣竿の方が大切だろう。」 皆が守の方を注目していた。 守はカッターで糸を切った。 「わ〰️!!ルイージ?なにしてんの? カジキを逃がして〰️。」 「ケン坊?こんな釣竿ではカジキは絶対に釣れない。 釣れないどころか釣竿が折られてしまうよ。 今の俺には釣竿の方が大切なんだ。 悔しいけど、仕方ないな。」 「え?だって、僕がカジキを釣った時は釣竿は最後まで折れなくて、糸も切れなかったよ?」 「ハハハ。あれは俺が作った特製の釣竿だからさ。 今回はケン坊のお母さんと同じ位の釣竿で勝負したからな。 この釣竿はカジキ釣の竿じゃないからさ。 ケン坊?この釣竿は大ちゃんの半年分のお給料位高いんだよ。」 「え?大ちゃんのお給料?半年分?」 皆は振り向いて、守の釣竿をマジマジと眺めた。 大介がその釣竿を手に取り調べていた。 「がまかつ がま磯 インテッサか〰️。 日本一高級な釣竿だ〰️!!」 「ハハハ。がまかつは鮎釣竿がもっとも有名だけどな。 鮎釣竿はこの磯釣竿の2倍するんだ。 で、がまかつは磯釣竿でも日本一になりたくて、プロには値引いて持たせてくれるんだ。 スポンサーになってもらうのが俺の夢なんだ。」 「そうだな。守が作ったルアーでスポンサーが目を付けてそれを製品化して、売れてスポンサーになってくれたのがプロアングラーの道の第一歩だったもんな。 そして、次は守の作ったフック(釣り針)が有名になり、どんどんスポンサーがマネーを出してくれるようになったんだもんな。 プロアングラーとしては、主役の釣竿メーカーのスポンサーが付いたら鬼に金棒だよな!」 「ああ。ありがとう。兄さん。俺の本当の夢は自分の作った釣竿が日本中に広まるって言うのが、最終地点なんだよ!」 キラキラと輝く瞳を憲一は目の当たりにして 「ルイージ!ルイージなら出来るよ! だって、僕が釣り歴たった2日で100キロのカジキを逃がすこと無く釣ることが出来たんだもん!」 守は憲一の頭を撫でながら 「ありがとう!」 と、力強く答えてくれた。 一一一 今の時代だったら、YouTubeで解説しながら、釣りの商品を宣伝していたら、守はたちまち有名人になったかも知れない。 今は商品に魅力を感じるのではなく、その人に魅力を感じるからなのだろう。 昔はファンは知る人ぞ知るだったが、今は知らない人でもYouTubeを見たら、はまって行く人がほとんどだからだ。
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