535. 楽しかった釣り大会

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535. 楽しかった釣り大会

11:00の終わりの合図にマリオが 「よし!終了!今、釣り針にかかってる魚までにしよう!」 静香の釣竿で飯田はまだ、カジキと闘っていた。 「尚ちゃん。ごめんなさい。私のカジキ釣りで終わっちゃったわね。 尚ちゃん?カジキは尚ちゃんに譲るわ。」 「そうだよ!お母さんなんて、尚ちゃん任せで何もしてないじゃん!」 憲一も母親の言葉に賛同した。 「ハハハ。これは俺の釣竿じゃない! これは社長の釣竿だから。 手を貸してるに過ぎないよ(笑)」 暴れていたカジキだったが、次第に力尽き網に入れて引き上げる事が出来た。 全長98cmの子供のカジキだった。 「いや~。小さいカジキにここまで苦戦するとはな! 回りを見渡しても社長のカジキが一番かな?」 大介が悔しがっていて、今にも釣竿を折る仕草をしていた。 「大ちゃん!ダメだよ?釣竿折っちゃ! 僕より子供みたいだよ?」 憲一が大介の隣に駆け寄った。 小学生に言われて、バツが悪くなった大介は 「ち、違うよ!釣竿をかたずけようとしただけだよ! 釣竿折るなんてガキじゃあるまいし!」 クスクスと回りが笑う。 「おい!尚人?お前の釣竿、何かかかってるんじゃないか?」 マリオが飯田の釣竿を見て、指差した。 「ホントだ!尚ちゃん!早く、早く!」 憲一が飯田を手招きした。 「え?なんだ?そうか。 守の釣り針だから一度咥えたら針が刺さって逃げられないんだな? どれどれ?」 飯田はリールを巻き始めた。 水面に長ヒョロイ姿の魚が浮かんで来た。 「え?魚?違う!ヘビだ!海ヘビだ〰️!」 「え?ヘビ?海にヘビなんているの〰️?」 憲一が叫んだ。その声を聞いた静香が 「尚ちゃん?ヘビなんて釣らなくていいから〰️!!いやよ〰️!!」 「針が取れないんだよー!毒がない海ヘビだから、心配するな!」 飯田は海ヘビの口から針を取ると、海に返そうと思ったが、飯田の手からヌルリと抜けた。 「お!ホタテウミヘビじゃないか? ホタテウミヘビの中でも長いな! 勇に1メートルはあるな。 長さの優勝は尚人だな!」 それを聞いた静香が反論した。 「ええ?ウミヘビって魚なの? 爬虫類じゃないの〰️?」 「社長?陸のヘビは爬虫類だけど、海ヘビはエラがあるから魚なんだよ? 辞典で調べたらわかるよ。」 守が補足して答えた。 あの頃は携帯はネットに繋がってなかったから、現在のようにすぐにスマホで調べる事は出来なかった時代だった。 「そうなんだ。わかったわ。わかったから、海ヘビを海に返してあげてよー! どうせ、食べられないでしょ?」 よほどヘビが嫌いなのかと飯田は思って、海ヘビを海に返した。 飯田はマリオから金一封を貰った。 「お母さん?残念だったね。」 憲一から慰めの言葉を貰った静香は 「いいのよ。どっちにしても尚ちゃんが優勝だから。 神様がちゃんと見ていて、尚ちゃんにご褒美くれたのよ。 お母さんが金一封をもらって尚ちゃんにあげても、絶対受け取らなかったと思うから。」 憲一の頭を撫でながら、笑顔で答えた。 「それじゃ、ちゃんこ鍋といきますか! 社長?悪いけど手伝ってくれる?」 飯田が静香に助けを求めた。 「はい!お手伝いさせて頂くわ。」 2人はちゃんこ鍋セットを持ち出すのに、下の荷物置き場の寝台室に向かった。 寝台室に入るなり、飯田が静香の唇を奪った。 あまりにも急な出来事に静香は戸惑った。 「ごめん。我慢出来なくなった。そこにベッドがあるから、やりたいくらいだよ。」 仮眠室のように5人は寝られるベッドが横たわっていた。 「ダメよ!早くお鍋持って行かないと怪しまれるでしょ?」 飯田の荒い鼻息が、静香の耳元に聞こえた。 「わかってるよ。なあ?明後日の月曜日の夕方会えないかな?」 「わかったわ。残業って家族には言うわね。」 「うん。よし!我慢する!明後日だもんな。それじゃ、静香は鍋を運んでくれるか? 俺は発泡スチロールに入っている食材を持って行くから。 後、カセットコンロが手さげ袋に入ってるから、それも!」 「わかったわ。」 2人は荷物を運ぶと、あらかじめ出来ている具材を鍋に入れると、カセットコンロのスイッチを入れてちゃんこ鍋を作り出した。 空は雲が多くなってきて、太陽が隠れた。 海の上は太陽が隠れると、風が涼しい。 ちゃんこ鍋を食べるには丁度いい気温だ。 「今週は台風が来るみたいだな。本当に今日は風もなかったし、カンカン照りでもなかったから、6人でつり大会ができて本当に良かった。 今度は守の新しいクルーズで、お披露目会をしたいものだな(笑) では、乾杯♪」 『カンパーイ♪』 憲一はこれで終わりではないと思うと、笑顔でコカ・コーラを飲んだ。 「ルイージ?お披露目会には僕も誘ってくれるの?」 「ああ。来月になるかな。 9月は台風が多いから、こんな日はめったに無いよ。 ケン坊がいると皆、喧嘩しないで済むから天使は必要だな!」 「そうだな!ケン坊は仲裁役の天使だな(笑)」 皆にそう言われて、憲一はまんざらでもなかった。 帰りに憲一が釣ったサバは飯田が買い取った。 静香のカジキは5000円で売れた。 売ったお金で刺し身を買って帰ったのだった。(笑)
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